10.「暗黒大滅神様に帰依しない?」
僕と広井さんは暗黒大滅神殿に向かった。
一階のテナントにはコンビニが入っており、駅からも近い。
中々に便利な神殿だ。
「暗黒大滅神様はね、この世界を滅ぼして世界に永遠の闇をもたらす神様なの、こんなさぁくっそ下らない世界からアタシ達を解き放ってくれるんだぁ」
病んだ瞳で広井さんが笑う。
何故、君はそんな彼女に付いていったのだろう。
君も彼女と同じ未来を見たいのだろうか。
もっとも、それを未来と呼べるかどうかは微妙なところだが。
「パパもママもだいっきらい……クラスメイトもみーんなキラキラしてて、多分好きになれない。でも、キミのことはちょっと好きだよ」
広井さんの白く細い二つの人差し指が君の口元に伸びて、無理やりに笑いの形を作った。
「ぜーんぶ、どーでも良さそうな顔してるからさ」
そう言って広井さんは、んひひと笑った。
今の君によく似た歪んだ笑い方で。
錆びついた階段を昇り、通路を少しだけ歩く。
四〇二号室――暗黒大滅神殿であるらしい。
広井さんが扉を開く、部屋の中には家具のたぐいは何もなかった。
掃除はされていないのか、床には薄っすらと埃が積もっている。
部屋の中央には神体なのだろうか、人の頭部ほどの黒曜石がある。
「んひひ……ようこそ、暗黒大滅神殿へ。アタシが教祖でキミが初めての信者……というわけで……お願いなんだけど……アタシの代わりに御神体用の神棚的な奴作ってくれない?暗黒大滅教には材料を買う予算しかないからさ」
上目遣いで広井さんが尋ねる。
君は、こう答えた。
20.「やれるだけのことはやってみるよ」
https://kakuyomu.jp/works/16817139555289870474/episodes/16817139555296451128
21.「こんな遊びには付き合っていられない」
https://kakuyomu.jp/works/16817139555289870474/episodes/16817139555296457208
22.「神頼みではなく、自分で滅びをもたらすべきだ」
https://kakuyomu.jp/works/16817139555289870474/episodes/16817139555296462220
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