11.「せっかくだから一緒に勉強しない?アタシも勉強頑張ってみよっかなー?なんて思ってるんだよね」

「せっかくだから一緒に勉強しない?アタシも勉強頑張ってみよっかなー?なんて思ってるんだよね」

 そう言って、広井さんは君の隣の席でノートを広げた。

「あ、教科書は見せてね」

 二人で一冊の教科書を見ながら、まだ何もわからない問題についてああでもないこうでもないと言い合う。

 そもそも最初の授業すら受けていないのだ、予習と言うにも取っ掛かりが無さすぎる。最初は勉強のはずだったが、最終的にはただの雑談に変わっていた。


 そんな日々が続いた。


 本格的に授業が始まり、ある程度予習が出来るようになっても、やはり勉強会は最終的に雑談に変わり、クラス内の人間関係が出来上がっていき、なんとなくの集団に分かれるようになっても、二人は放課後に図書室に集まった。


 初めての中間テストを前にして、図書室の利用者が集まり始める。

 余裕を持って取っていたはずの二人のスペースが、他の利用者のことを考えて縮まっていく。あるいは他の利用者のこと以外を考えた結果なのかもしれない。


 パーソナルスペースを共有しながらノートにペンを走らせる――そんな中、急に広井さんが言った。いいことを思いついた、そう言いたげににンヒヒと笑って。


「ね、勝負しよっか……中間テストの点数。負けた方は勝った方の言うことを一つ聞くの」


35.「望むところだ」と君は言った。

https://kakuyomu.jp/works/16817139555289870474/episodes/16817139555303871183


36.「言うことを聞かせたいのならば、知力ではなく暴力を用いるのだな……」

https://kakuyomu.jp/works/16817139555289870474/episodes/16817139555303876744

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る