第6章 幻影の森
シオン都市から西へ進み『幻影の森』へ到着した アルスとトウマは揉めていた。
「早く終わらして帰りたいのだけど…」
「俺も帰りたいよ!でもよ!休憩しよ?一度、近くの町に戻ろ?」
アルスは、眉にシワを作り面倒臭い顔をしている。
「なんで、付いてきたの?一人で休んでくれば良かったよね?今さら戻っても町まで2時間はかかるよ」
『幻影の森』の回りは水辺に囲まれており、人が通れる道は一ヶ所だけになっていた。まるで現実世界から切り離されたような森は幻想的で神秘的…心がスッと軽くなるような気さえする。
本当に気がするだけで…アルスの視線が冷たく刺さる…。もう、心が重い…。
「…いっ…行きます…」
トウマは、しぶしぶ足を森へ向けた。
森の中へ一歩足を踏み入れると、森の中も、また、違った幻想的な世界が広がっていた。
暗闇の中に光るクリスタルは七色に揺らめきながら輝いている。
足を一歩一歩、前に進めるにつれ、冷ややかな空気が増した。
トウマが半分涙目になり『帰りたい…』と思っていた矢先、前を歩いていた アルスが足を止めた。
トウマもアルスと同じ方向へ目をやる。
すると、目の前に白いモヤが、ハッキリとはしないが、一人の女性へと姿を変えて現れた。
女性は森の入り口を指さし【早…く。ここを離れて…】と一言伝えてきた。
「えっ?!幽霊!?
…てか、何か奥から来る!!?」
女性を見てテンパり気味だった トウマも、女性の後ろから来る何かに、アルスと身を構え刀を手にした拍子に長い蔦が闇の奥から勢いをつけて現れた。
蔦を弾くと目の前にいた女性も白いモヤになり消えていった。
氷結のフロンティア 羽刀 イフ @Punimamu
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