三食目 シャチは食べなくても遊ぶために生き物を殺すときもある。

滑りこんだのはいいものの

昨日から何も食べていなかったこともあり、

時間もないので自販機のあったか~い欄から

お汁粉とコーンポタージュを

それぞれ一本ずつ買った。


コーンポタージュは人気のあったのか

売り切れの赤いランプがついた。


その温かさに感動し、

その場で甘いのは後ででいいやと

コーンポタージュで

舌を焼きながら飲み干した。


私はそれで終わらずお汁粉までも飲み干した。

こんなに沁みるのは二日酔いの時に飲む

しじみの味噌汁なんて比じゃなかった。


それから胃のエンジンがついたように

そこからツアーの申し込んだ先まで行った。


港町らしい内装を

見渡せるガラスのドアを開け入った。


「あのー、すみません。

加藤で申し込んだものなのですが、

こちらで受付できますか?」と尋ねると

出発前でいそいそとしている

少し私より上のお姉さんが

「加藤様ですね。少しお待ち下さい、

はい。加藤京子さんですね。

ご予約ありがとうございます。」

という言葉に少し日本の最果てに来たという

こともあり不安であったけれど、

しっかりと予約が出来ていて肩を落とした。


「ツアーについての説明は乗船前に

皆様にお伝えいたしますので、

ライフジャケットの貸し出しをするための

サイズがわからないので

お客様の身長を教えて頂きたいです。」と

言われた。


私は「150センチです。」と伝えると

後ろでゴソゴソしながら

私にジャストサイズに見える

ライフジャケットを用意してくれた。


「ありがとうございます。」

と受け取り試着してみた。


思った通りジャストサイズだったものを着て

そのままいるように言われた。


そして、荷物をその場に預け、

少し歩いた先にある集合場所に行った。


少し時間がたち大体の人が集まってきたのを

確認すると先ほどのお姉さんではない

少し年上の男性が

安全に乗るための説明などを10分ほど

熱心にしていたのを見て安心した。


乗船することになり、

偶然は重なるものだからと

少し周りを見渡したが父と母はいなかった。


偶然にも限界があると思いながら、

船に乗車した。


初めての船に乗ったので、

少し船酔いしどれくらい乗っていたか

わからないうちにアナウンスが入った。


「まもなく、クジラやシャチを見ることが

できるエリアに到着します。

よーく目を凝らして見つけてくださいね。」

そのアナウンスに船酔いそっちのけで、

シャチを探した。


15分ほどたったあたりで他の乗客の一人が

「海に黒い影がある!」と指をさした。

私もシャチを探していた方向から

目線をずらし、指をさしていた方向を見ると

確かに黒い影がある。


見るに体長8メートルほどの

大きさの影が見えるのである。


その時期待値はバブルように

上がり続け止まることを知らなかった。


その影が海面にだんだんと近づいてきて

乗客全員が今日であったばかりなのに

まるで息ぴったりのように

同じように覗き込んだ。


ついに姿を現すと

それは"まるでシャチのようだった"


そして、アナウンスの声が私に衝撃を与えた。

「おー大きなミンククジラです。

このクジラは

とても小さなクジラであることが有名です。」


そう言われ落胆したが

一回はシャチと思ったのは確かであったが、

悔しくも迫力もあり

残念に思う気持ちは払拭された。


それからというもの波に逆らうこと

約30分何も出会えず

今回は見ることすらできなかった。


到着するまでの時間全て探すことに

費やしたのにも関わらずである。


下船すると見れなかった

衝撃で頭がぼやぼやしたが、

寒さが雑念と一緒に風と共に去っていった。


そして、歩いているうちに

土産屋と定食屋がセットになった

道の駅の上位互換と言えばいいのであろう

建物に入り大きな海鮮丼を

見れなかった悔しさとともに

綺麗な海を背景に掻き込んだ。


それから、

帰りの岐路に着くと空港まで直行した。


飛行機に乗りながら空より海のことを考え、

次にいつまた来ようかを考えていた。


私の日常はシャチに食われたのではなく、

食べたくなるほど

愛してしてしまったのかもしれない。

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世界最強の海洋生物を食べる女 バーベキューパフェ(バフェ) @AsiArAirAsukAru

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