#001 全てはここから
昔は天才と言われていた彼「ショウ」の今の生活、それはあまりにも悲しいものだった。
飯を食って、ゲームして、寝ての繰り返しだ。ショウはいつからか、この世界に絶望した。
だからこそ無限の可能性を秘めたゲームの世界に入り浸っていた。
しかし、ある日彼の日常に異常が起きた。
いつも通りゲームをしていたショウ。
「ふぁー...ねみぃ」と、ボソッと呟く。
そんな彼の元に1通のメールが来た。そこに書かれた内容は恐怖的なものだった...
「僕と 一緒に 遊ばないかい ? 君の 力を 見してくれ よ」と書かれていた。
差出人は不明、謎のURLも付属してあった。普通なら無視するだろうが、時間は夜中の2時。睡魔にやられそうなショウは訳もわからずにURLを開いてしまった。
その瞬間、「ふふ、楽しみだ」という小さな呟きと共に、ブレーカーが落ちたかのようにパソコンの電源やライトが消え、真っ暗になった。
その後、ショウは突然激しい頭痛に襲われて、そのまま気を失ってしまった。
ショウが次に見た物は、綺麗な青空だった...ふさふさした原っぱに仰向けに倒れていたのだ。「いたたたたぁ...何が...」と頭を押さえながら上半身を起こす。
すると「おはよう、大丈夫?」と、隣から聞き覚えのある声がした。隣には珍しい服装をした少年がちょこんと体育座りをしていた。
「だれだ...よお前...」
「僕が一から説明してあげようじゃないか!」
何も理解出来てないショウは、少年の話を大人しく聞くしかなかった。
「まず、僕の名前はクウラ、君をここに連れてきたのは僕だ!まずこのせか...」
「おいちょっと待て、お前は何者なんだ?」
「うーん、僕の詳しいことは話せないかな、そのうちわかるさ!」
クウラと名乗る謎に元気の良いその少年は、引き続き話し始めた。
「君、あの世界に退屈していたよね?まぁ、あの世界を作った奴はつまらない奴だったからなぁ、だから君を僕の世界に無理やり連れてきたんだ!」
「色々とよくわからんのだが...」
「まぁ、そう焦らすなよ、ショウくんっ、君があの世界で腐るのは勿体無い、この世界は君が望む形に形成されているんだ。だから君の力を思う存分見せてくれよな!君のやるべきことはすぐ分かるよ!それじゃっ!」
「は?え?ちょまっ...」
クウラはすぐに消えてしまい、ショウは一人になってしまった。
「なんなんだあいつは!ここはなんなんだ...意味がわからねぇ!」
そう叫ぶショウの心には、既にワクワクの感情が生まれていたのであった。
「展開が早すぎて意味がわからねぇ!どうすりゃいいんだよ!クソッタレが!」などと喚き散らしていたが、しばらくするとショウは徐々に冷静さを取り戻して、状況を整理していた。
ショウがいた場所は少し標高が高い場所で、周りには少し木が生えているだけ。見晴らしが良く、街らしきものが少し遠くに見えたのが不幸中の幸いだった。
「訳がわからねぇが、やってやろうじゃねぇか」そう呟き、ショウは一瞬人が変わったかのようにニヤリとした。
ショウはその遠くに見えた街を目指して歩き始めた。周りは自然で埋め尽くされていて、街以外に人工物らしきものは見えない。
空には見たこともないドラゴンのような見た目をした鳥が「キュー」と鳴いている。
ここが元いた世界とは違うことを実感させる。
少し寂しい静かな道を一人とぼとぼと歩いていく。そしてしばらく歩くとショウの目の前に街の大門らしき物が現れた。
大門の前には数人の槍を持った騎士らしき人が立っており、ショウは人がいることに少しホッとして、足を早めた。
しかしそれとは裏腹に、大門の前にいる人たちは何やら不安げにショウを睨んでいた。ショウが大門の目の前に着き、その人たちに話しかけようとした。
しかし、相手が先に化け物と話すかの様に、少し恐れながら話しかけてきた。
「お...ぉおお前はだ、誰だ!"あっち"側のやつか!くっ...と、捉えろ!」
「え、え、ちょっとまっ...」
急に襲いかかってくるその人たちに驚き、ショウは腰が抜け、座り込んでしまった。しかし、騎士たちは構わずショウに槍を向けながら走ってくる。
思わず目を瞑って覚悟をした瞬間。
「や、やっめろぉー!」と可愛らしい女性の声がした。えっ?と思い目を開けたら、それまた珍しい服装をした可愛らしい女性が目の前に手を広げて立っていた。
「ア、アズハさん!なんでその化け物を庇うんですか!危険です!早く退いてください!」
「こ、この人が"あっち"側のやつとは限らないです!それに、抵抗する気のない人を力で押さえつけようとするのは良くないです!ラジアさん落ち着いてください!」
そのアズハという女性はショウを弁護した。
そのおかげか、騎士たちは一度槍を下ろし、ショウに話しかけてきた。
「アズハさんに免じて、は、話を聞いてやろう...だが、念のため手錠はさせてもらうぞ」
そういって、ラジアと思われる騎士の中でも少し偉そうな奴が、少し恐れながらショウに近づいていき、手錠をかけた。
「お前ら、こいつを"騎士団調査室"に連れてこい、任せたぞ」
「りょ、了解です。ラジア小隊長」
ラジアはそういい残して大門をくぐって、どこかに行ってしまった。
「ふぅう〜怖かったぁ!」
「あ、ありがとう。ア、アズハさん?」
漫画のようなことが目の前で起こり、動揺しながらもショウはアズハにお礼を言っていた。
「いいのいいの、気にしないで!知ってると思うけど、私の名前はアズハ。商売をしながら旅をしてるんだ!」
どうやらアズハは商売旅人らしい。
「詳しい話は調査室でする、ついてこい。」
そう騎士に言われショウとアズハは、大門をくぐってすぐ横にある騎士団本部の中の調査室に連行されてしまった。
180ストラテジー @ichi86
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