沼
Meg
沼 1話完結 脚本形式
◯民家の前・畑(江戸時代風)
竹藪。山に囲まれた土地。
農民のカズサ(20)が立って、虚な瞳で空を仰いでいる。
空は中心が丸い青空だが、その周りは暗く、何も見えない。
狭い青空いっぱいに、若い男の顔が浮かぶ。
◯山中・竹藪。
大きな沼がある。
◯(五年後)民家
寝床に臥したカズサ(25)。産声をあげる赤ん坊の吉(0)をあやしている。
カズサ「おまえの名は吉にしよう。死んだ父親の竹吉から一文字取って。この地にほかの人間はいない。私にはおまえだけだよ」
◯(20年後)民家の前・畑
うららかな陽気。
畑を耕す吉(20)が汗をぬぐう。疲れたような荒い息を吐く。
畑の隣の井戸で、若々しいカズサ(45)が、水を汲んでいる。
カズサ「吉、疲れたろう。今日はもう休みなさい」
カズサは吉の体を包み込む。
吉「(照れ笑い)お母さん、僕はもう大人です」
カズサ「私にとってはあなたはいつまでも子どもだよ」
吉「いけません。これから山菜を採ってきます」
吉は大きな竹籠を背負い、竹藪のほうへ歩む。
吉「一人で僕を育ててくれたお母さんのために、もっと働かなければなりません」
カズサは涙ぐむ。
カズサ「いつも言っているけれど、あの沼にはくれぐれも近づくんじゃないよ」
吉「(笑う)わかっています。沼の底に住む妖怪が人間を喰らうんでしょう」
◯民家(夜)
膳を用意し、正座しているカズサ。食事に手をつけず、そわそわとしている。
カズサ「遅いねぇ。あの子、沼に行ったのかしら。でも吉が私の言いつけを守らないなんてありえない。もしそうなら、私……」
深刻な顔のカズサは、爪を噛む。
戸が開き、泥だらけの吉が入る。
カズサ「(責めるように)吉、遅くまでどうしていたの?」
カズサ「すみません。でもこの人が」
吉は気絶している若い娘(サツ)(20)を背負っている。泥まみれ、傷だらけで、顔色は悪い。
カズサはハッとする。
カズサ「(怒り)あんた、あの沼に近づいたんだね。私の言いつけを破ったんだね」
吉は慌てて、
吉「山の中で倒れていたんです」
サツ「う、けほ……」
背負われたサツが目を覚まし、吉が驚く。
カズサ「(怒り)その女をおろしなさい。目が覚めたのなら一人で立てるはずだろう」
吉「ええ? でも」
サツ「(咳き込みながら)はい。その通りです」
サツは吉の背から降りる。地べたに膝をつくなり、吉に向かって、額を地にこすりつける。
吉「(戸惑い)ちょっと、きみ……」
カズサ「(不審)何なのあなた。どういうつもり?」
サツ「吉さまでしたね。あなたのお名前」
吉「そうだけど」
サツ「あなたは命の恩人です。あたしはサツと言います。どうかあたしをあなたの妻にしてください」
吉は驚きの声をあげる。
サツ「尽くしとうございます」
吉を押しのけ、カズサが立ち塞がる。
カズサはサツを何度も何度もぶち、蹴る。サツはうめく。
カズサ「詐欺師め。おまえみたいな女が吉の相手になるものか」
吉はカズサを突き飛ばす。
吉「やめてください! 相手は怪我人ですよ」
カズサは尻もちをつく。
吉はサツの肩を持ち、起き上がらせる。
吉「(照れる)僕は母以外の婦人、いえ、人間を初めて見ました。サツさん、僕でよければ」
サツは吉を抱きしめる。吉もぎこちなく抱き返す。
カズサが怒りのこもった目でサツを睨み、拳を震わせる。
サツは恐れたように、カズサから目を逸らす。
◯同(夜)
畳の上の布団に横たわるサツを、カズサが手当てをしている。
吉が粥の入った椀を持ち、そばに寄る。
吉「サツさん、調子はどうですか?」
サツ「ありがとう。楽になりました。でも腕がまだ……」
吉「僕が食べさせてあげます」
サツ「そんな……」
吉「いいんですよ。僕はあなたの夫じゃないですか」
吉は匙で粥を掬い、サツに食べさせる。サツは照れくさそうに笑う。
サツ「吉さん。どうせ夫婦なら、かしこまったしゃべりかたはやめない?」
吉「ああ。それもそうですね。あ、いや、そうだね」
サツ「(はにかみ)なんだか照れるわね、吉さん」
カズサは黙っている。後ろ手に小刀を持ち、畳の繊維を切り裂いている。
◯民家の前・畑
暑い夏の日。
山菜の入った竹籠を背負った吉が、汗をぬぐいながら戻ってくる。
野菜が茂る畑で、サツが
吉「サツ。身体はもういいの?」
サツ「吉さん。茄子の花が咲いたわよ」
二人は身を寄せ合い、紫の花を見つめる。
吉が花を見たまま、ぎこちなくサツの手を握る。サツは顔を赤らめながら、吉の手を握り返す。
洗濯物を取り込んでいるカズサは、ビリビリと布を引き裂く。
◯民家(早朝)
薄暗い家の中に、服や物が散乱している。
布団の中で、カズサが目を覚ます。
横に置かれたお椀には、山菜を煮た汁物が入っている。
◯同・土間(早朝)
お椀を持ったカズサが、土間を覗き見る。
並んだサツと吉の後ろ姿。二人で楽しそうに笑いながら、鍋をかきまわしている。
吉「汁物の塩は多めに入れよう。お母さんは塩味が好きなんだ」
サツ「あたし塩味は嫌い。薄味がいいわ」
吉「じゃあ僕がサツの分を作っておくよ。塩味とは分けておく」
サツ「塩なんて、こんな山の中にないでしょう」
吉「近くの温泉に行けば山塩が採れるんだ」
サツ「温泉があるの? いいな。吉さんと一緒に入りたいわ」
カズサはお椀を落とし、具を握りしめる。
カズサ「……吉ィ」
笑っていたサツと吉が、ハッと振り向く。
吉「(慄き)お母さん……」
カズサ「(憮然と)山菜を採りに行きなさい」
吉「山菜なら昨日採った分がまだ……」
カズサ「(怒鳴る)いいから行きなさい! 早く!」
不服そうな吉は、竹籠を背負って家から出て行く。
残されたサツ、オドオドしている。
サツ「料理、どうでした? 吉さんからお義母さまの好物を聞いて作ってみたのですが」
カズサ「穀潰し」
サツは身震いする。
カズサは空のお椀を突き出し、
カズサ「これが料理? 味が全然ないじゃない。塩をちゃんと入れたの? 人の食べるものじゃないよ」
サツ「す、すみません」
カズサ「大体お義母さまって何? 私はあなたを吉の嫁に迎えた覚えは一切ありません」
サツ「すみません……」
カズサ「怪我も治ったんだし、今すぐ出ておいき」
サツはカズサを上目で見る。不満そう。
カズサ「何その目は。ほら」
カズサはサツの身体を押し、無理に家から出そうする。
サツ「(慌てて)待って。お願いです。どうか吉さんのそばにいさせてください」
カズサ「どうして床に物が散らばってるの?」
サツ「すみません」
カズサ「嫁らしいことは何もできないくせに。役立たずの穀潰しが。ほら。ほら、ほら」
サツは黙って、散らばった服や物を片づけ始める。
カズサはサツが片づけた物を、彼女に片っ端から投げつける。サツはまたそれを片づける。
カズサ「(呟く)早く消えろ。でなきゃ竹吉みたいに……」
◯同(夜)
カズサ、吉、サツが、川の字で寝ている。枕元の一本の蝋燭の火が、ゆらゆら揺れている。
吉「(囁き)サツ、まだ起きてる?」
吉が音を立てないよう、サツの布団にもぐりこむ。
サツは無言で背中を向ける。
吉は後ろからサツを抱きしめる。
サツが痛がる。
吉はハッとして、サツの寝巻きをはだけさせる。
蝋燭の灯りをたよりに、サツの身体を見る。二の腕に、指の形のあざがある。
カズサ「なんでもないわ。ぶつけただけ」
吉「前にも別のところにもできてた。まさか、まさかだけど」
吉はカズサをちらりと見る。カズサは寝返りを打ち、背を向ける。
サツは期待を込めた目で、吉を見つめる。
吉は首を振る。
吉「違うよな」
ごまかすようにサツを抱きしめ、口づけ。
サツは失望のため息を吐く。されるがままになる。
背を向けたカズサは、爪を噛み砕く。
◯民家
竹籠を背負った吉が家を出ようとする。俯いたサツが見送る。
吉「どうしたの?」
吉がサツの手を取ろうとする。が、サツはフッと手を引っ込める。
サツ「早く行ってきたら?」
吉は拗ねて唇をとがらせる。そっけなくひるがえり、出ていく。
サツは物をきちんと片づける。
家中雑巾がけをし、ぴかぴかにする。
カズサが壁にもたれ、見下ろしている。
カズサ「吉には言わないんだ。私のこと」
サツ「あの人に言っても、どうせわかってくれないから」
カズサ「じゃあさっさと出て行ったら」
サツ「嫌です」
カズサ「そんなに男をくわえこみたいの?」
サツはかちんとくる。
サツ「淫乱? それはあなたでしょ」
カズサは顔色を変え、怒りの表情を浮かべる。
サツ「吉さんと寝たいと思ってるんでしょ。母親のくせに。淫乱はあんたよ」
カズサ「(羞恥で)あなたは私をそんな風に見ていたの?」
サツ「お義母さんには吉さんしかいないもの。あたしは幸せになりたいんです。あなたと違って」
カズサはサツを押し倒し、髪を引っ張る。
カズサ「私は吉を信じてる。あの子は何があっても私を裏切らない。私の元を離れない。あなたは吉を信じきれるの?」
サツは無言。
カズサ「あの子を信じきれないくせに吉の嫁でいるの?」
サツは目を逸らす。
カズサ「あの子のたったひとりの母親を淫乱呼ばわりする嫁なんて、吉のほうも信じないんじゃないの? 出ていくのが一番いいんじゃない?」
サツは詰まる。
カズサ「ま、どっちにしろ出て行かないなら、さっきあなたが言ったことをまんま吉に言ってやるけどね」
サツ「(慌てる)それだけはやめてください。頭に血が登って言いすぎました」
カズサ「(小馬鹿にして笑う)あんたの嫁は純情そうな顔して、母親があんたと寝たがってると思ってたんだよって」
サツはカズサに縋る。
サツ「やめて。お願いです。言わないでください。なんでもするから」
カズサ「なんでも? そうねえ。じゃあごみ捨てでもしてもらおうかしら。そしたら今のことを吉に言わないであげる」
サツはコクコクと頷く。
カズサ「いい? 沼までよ。あなたのいた、ね。帰る決心をして」
◯民家の前
小雨が降っている。
袖で頭を庇う、竹籠を背負った吉が、戸を開ける。
吉「早く戻れる口実ができた。サツとおしゃべりをしよう。あいつ機嫌が悪かったからな」
家の中では、カズサが床を拭いたり、壁をはたいたりしている。
吉「サツは?」
カズサは顔を向けず、掃除をしたまま、
カズサ「出て行ったよ。見て。家の中をぴかぴかにしたよ。全く、あの女は吉の嫁だとか言う割には片づけひとつしないんだから」
吉「どうして?」
カズサ「飽きたのよ。淫乱な女だし」
吉は呆然とする。
カズサ「聞いてよ。あの女、私が吉と寝たいと思っていると言ったのよ。最低だと思わない?」
吉「外は雨じゃないですか」
カズサ「あんな穀潰しの淫乱はもういいだろう。吉、こっちに来てお母さんを手伝って。背が足りなくて高いところには手が届かないんだ」
吉は外へ飛び出す。
カズサ「吉、どこに行くの? 私の吉や」
◯山の中・竹藪
雨が降りしきる。
大量の枯れた野菜の茎を、サツがずるずると、重たげに引きずっている。
枯れて硬くなった葉や茎が指にささり、手は擦れて真っ赤になっている。
吉「サツ! サツ!」
吉がびちゃびちゃ音を立てて、サツの元へ走ってくる。
サツは真っ青な唇を微笑ませ、どしゃりと地面に倒れる。
吉は慌ててサツを抱える。枯れた野菜の葉や茎をちらりと見、
吉「なぜこんなものを」
サツ「お義母さんが沼までゴミを捨ててこいって」
吉「やっぱりあのあざも……」
サツは小さくうなずく。
吉「どうしてちゃんと言ってくれなかったんだ」
サツ「信じてもらえないと思ったの。あなたは義母さんが大好きだから。お義母さんの所業を言うのも酷だと……」
吉「もうあの人は嫌いだ。僕が好きなのはサツだけだ」
サツは息を呑む。
サツ「あたしを選んでくれるの?」
吉はサツの頬を撫で、
吉「今日から僕の家族はサツだけだ」
カズサ「ありがとう。吉さんのことだけは何があっても信じる」
二人は口づけ。
ざあっと降っていた雨が上がる。雲間から漏れる日光が、二人を照らす。
サツ「ねえ吉さん。あたしと一緒に来てほしいところがあるの」
吉「どこにでも行くよ」
吉はサツの腕を肩にまわし、立ち上がる。
目の前に包丁を構えたカズサが立っている。二人ともぎょっとし、飛びあがらんばかり。
カズサ「サツさん。私と一緒に来てほしいところがあるの」
◯同・同・道
サツの首元に包丁をつきつけながら、カズサは弱った彼女を引き摺る。
吉がゆっくりとした足取りで、あとに続く。
吉「お母さん、サツをどうするつもりですか」
カズサ「どうもしないからあんたは家に帰りな。この人には元いた場所に帰ってもらうだけ」
吉「元いた場所?」
◯同・同・大きな沼の前
カズサはサツを沼の前に立たせ、押す。
カズサ「サツさん。飛び込んで」
サツは必死で抵抗する。
カズサ「この女、やっぱり動けたのね。いじらしい態度も吉の同情を引くための演技だったんだろう。知ってるんだよ」
カズサはサツに包丁の先を押し付ける。サツはカズサの手首をつかみ、力を込めて止める、
吉「サツを殺す気なんですか?」
サツ「(叫ぶ)あたしはこの沼からあなたのところへ来たの。きっとお義母さまもそうなのよ。あたしたちはそういう種族なの」
吉は混乱する。
カズサ「(怒り)この女、余計な口を」
サツ「吉、沼に飛び込んで。あたしもすぐ行くわ」
カズサ「吉、家に戻って。この沼に飛び込んだらあんたはお母さんに二度と会えなくなるんだよ」
吉は愕然とする。
カズサ「お母さんをひとりにしないで。おまえがいなくなるなんて、お母さん耐えられない」
カズサは涙を流し、声を震わせる。
吉は立ち尽くす。
その隙に、サツがカズサを押しのける。サツはカズサが落とした包丁を拾い、彼女に刃を向ける。
カズサは腰を抜かし、悲鳴を上げる。
カズサ「吉、助けて!」
吉がまっすぐ駆けだす。
カズサは小さな安堵の息を吐き、微笑む。
吉はカズサの前を通り過ぎ、まっすぐ沼に飛び込む。
カズサ「え……?」
吉の身体はずぶずぶと沼に沈み、あっという間に飲み込まれる。
放心しているカズサ。
サツが包丁を沼の中に投げ入れる。
サツ「もう必要ないですね」
カズサは膝をつき、泣きながらサツに縋る。
カズサ「お願い。息子を返して。お願いよ。なんでもするから」
サツ「ごめんなさい。あなたの気持ち、よくわかります。あたしがもっとあなたと仲良くできる女だったら。ごめんなさい。ずるい女でごめんなさい」
サツは泣き出す。
カズサ「あなたに何がわかるの? 私はたったひとりのわが子を取られたのよ」
サツ「わかっています。この沼の下は誰もいない山の中、あるのは畑と家だけでした」
カズサは息を呑む。
◯(サツの回想)民家の前
サツ(20)が空を見上げている。
中心が青空。その周りは暗い。
サツ・N「気づいたらそこにいました。どうしてそうなのか、どうやって自分が生まれたのかもわからない。さみしくてさみしくて、毎日流れる雲だけを見ていました」
◯(回想終わり)山中・竹藪・大きな沼の前
サツ「きっとお義母さんも一緒だったんでしょう? 違いますか?」
カズサは口を閉ざしている。
サツ「空を見上げていたらね、突然空から死んだ泥だらけの男の人が降ってきんです」
カズサ「あ……竹吉……」
◯(サツの回想)民家の前
全身泥まみれの男の転落死体を、サツがゆする。
丸く狭い青空いっぱいに、何かを叫んでいるカズサ(24)の泣き顔が映っている。
カズサ・N「(泣き声)竹吉……。あの人は吉を身籠ったら、急に気が狂って沼に飛び込んでしまったのよ」
サツ・N「あの人が降ってきたおかげで、あの空の上にも世界があることを知りました」
サツが長い梯子を作っている。
梯子を大木にかけ、空目指して登る。途中、梯子が壊れたり、ズレたりして、サツは落ちる。
サツは空を見上げる。丸く狭い青空に、吉の顔が映っている。
サツ・N「誰もいない山の中、狂ったような孤独の中、空に浮かんだあの人の姿が、私のよりどころになった」
◯(回想終わり)山の中・竹藪・大きな沼の前
カズサは顔を覆う。
カズサ「あの子は私の言いつけを破っていたのね。山菜を採るついでに、沼を覗き込んだんだわ……」
サツ「ごめんなさい。本当は三人で仲良く暮らしたかった。でも無理なようです」
サツは空を見上げ、
サツ「あたしはお義母さんのためにも、あの空の空にいたであろう何千何万の女たちのためにも……」
カズサ「ねえ、何をするつもり?」
サツ「吉さんと幸せになります」
サツは沼に飛び込む。ずぶずぶと沈み、姿は見えなくなる。
カズサ「待って。私も連れて行って」
取り乱したカズサも、沼に飛び込む。が、沼は浅く、カズサの身体は沈まない。
カズサ「どうして私だけ沈まないの? 私をひとりぼっちにしないで」
カズサは飛び跳ねる泥で真っ黒になりながら、浅い沼の底をかきわける。
若々しかったカズサの顔や身体に、皺がシミが急速に広がっていく。歯も抜ける。
頭上の晴れた空は、中心が丸い青空だが、その周りは暗く、何も見えない。
◯(二十年後)洋風の農家の前・畑(明治時代風)
山に囲まれた土地。
長いスカートの娘が、うつろな目で、ぼんやり空を仰いでいる。
空は中心だけが青空。周りは暗く何も見えない。
すると、空から吉の死体が降ってきて、畑の柔らかい土の上に墜落する。
娘が驚いて吉を揺さぶる。
吉は目を見開き、苦悶の表情を浮かべて死んでいる。身体は泥で真っ黒。
娘は空を見上げる。
狭い青空いっぱいに、泣きながら何かを叫ぶサツの顔が、ぼんやり浮かんでいる。
◯山中・竹藪・大きな沼の前
大きな沼の水面は、日の光に照らされ、ぎらりと光る。
沼 Meg @MegMiki34
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