語り手のユウちゃんの想いがスーッと伝わってくる甘酸っぱいお話。
そんな彼女の恋がメインではあるんですが、そこに登場するおばあちゃんのお友だちの香田キヌヨさんがすっごく好きです。なので、彼女について書かせていただきます。
登場シーンですぐ「あぁ、ユウちゃんは彼女のことが少し苦手なんだな」と伝わってきて、逆に私はワクワクしました。
描写される容姿も、クールビューティーなおばあさまで、とっても素敵。
そんな彼女の洩らした一言は、とても甘く切ない想像を掻き立てるもので、胸がギューッと熱くなりました。
彼女の恋はユウちゃんのそれとはまた異なるものですが、それゆえに、それぞれが引き立ってあっていて、すごく素敵な味わいでした。
親友が告白されたのを知り、正体のわからないモヤモヤした気持ちを抱えてしまった、とある少女のお話。
どこまでも真っ当で真っ直ぐな恋の物語です。
恋愛劇のようでもあり、思春期の少女の成長のお話でもあり。とにかく瑞々しくて甘酸っぱく、そしてもどかしく切ない気持ちにさせてくれます。
と、ただそれだけにとどまらず、脇を固める登場人物がまた素敵。
ネタバレになるので多くは語りませんが、彼女の言葉もまた染みるんですよね……。
それまでの足跡と、秘めてきたかもしれないいろいろを想像させられちゃう。
終盤はとにかく圧巻でした。思わぬ展開、というのとはまた違うんですけど、とにかくドキドキさせられる。
柔らかながらもはち切れそうな、素敵な恋の物語でした。