第3話 魔王の条件


「勇者様、お食事の準備が整いました」


 食事か、以外と早いな。


「すみませんが食事はこっちに持ってきてもらってもいいですか?」


 もう少し、寝かしてあげたいしな。俺も、もう少し休むか。


「っん....」


「あぁすまん、起こしちゃったか?」


ぐぅ~~~~~


 ん?今この子から聞こえたような.....


「今、メイドの人がご飯を持ってきてくれるから」


 ....その数分後にご飯が来たんだけど、こんな王城の食事とならばそれはもう豪華ですごくおいしかった。そういえばこの子の名前まだ聞いてなかったな....


「久しぶりによく食べたな....ねぇ君の名前聞いてもいいか?」


「ティア・ジョイ・クローナ....」


「ティアか。いい名前だな」


「俺は、さっき言った通り大河流羽だ」


「ルー様?」


「様って......まぁこれからよろしくね。」


「あっそういえば君の家族はどこにいるか、わかるか?」


 俺はこの子をしっかり家族のもとへ帰す義務がある。


「っ.....っおとうさん....っおかあさん....」


 泣かしちゃった。もしかして、この子の両親はもう....


「大丈夫、大丈夫だから」


 なんか俺に妹がいるからか、守らなきゃって思う。


「失礼します。勇者様、21時にて王城広間で集会がありますのでよろしくお願い致します」


 このまま休ませろよな。21時か....先に行っておくとするか。


「ティアこれから広間に行ってくるからここで待っててくれ」


「わかりました...」


 ティアが心配だが、出来るだけ情報が欲しい今、この機を逃すわけにはいかないな。

 ....まだ、全員集まっていないな。


「あ、大河くんさっきみんなの役職を確認する途中でいなくなったけど大丈夫....?」


「え、あぁ。少しお腹が痛くてトイレ行ってた」


「なら、良かった」


 彼女はたしか小鳥遊さんだっけな。でもあの時、俺は潜伏スキルを使ってたはず。なんでいなくなったこと知ってんだ?


「勇者様方、今日お集まりいただいたのは、これからのことについてでございます」


「これからみなさまにはこの王都クローラル国にて明日から、力をつけていただきます。そして、全戦力をもって魔王軍に進軍するのです!」


 よく言うぜ。俺たちを殺すつもりのくせに。

 でも少し引っかかる、俺たちを殺すつもりなら力をつけさせる必要はないはず。何をかんがえてんだ。

 だが、いつ襲ってくるかわからないし。慎重に、その時のために備えるしかないな......




ーーーー役職確認が終わった後の王都ーーーー




「まさか、勇者どもの中に本物の勇者がいるなんて。あの勇者だけは早めに殺しておくべきかしら」


「王女よ。そう慌てるな。勇者といってもまだまだ子供、魔王様の仰せのままに、しっかり力をつけさせ始末するのだ」


「そんなのわかってるわよ!」


「失礼します!報告いたします。エルフの国にて捕らえた、例の2人を処したのちその2人に娘がいることがわかりました」


「なんですって!?その娘はちゃんと始末したのよね?」


「それが....消息不明となってまして....」


「だったらさっさと探しておいで!」


ハッ!!


「あの娘が生きているとすれば、まだあの血は途絶えてないってことだわ。なんとかしないと....」




「やぁ、久しぶりだね。る・う・さ・ま笑」


「お前は夢にまで、出てくるのかよ。白光り人間が」


「ここは夢じゃないよ。あとその呼び方はやめてくれよん。うーんそうだな、シロとでも呼んでくれ」


 なんか急に馴れ馴れしくなったなコイツ


「それより、ここが夢じゃないってどういうことだよ」


「ここはそうだな。別世界の異空間とでも言おうかな。君と私はその能力で繋がっているんだよ」


 じゃあ毎回寝るたびにコイツに会わなくていいんだな。安心安心。


「この前は時間がなくてあまり伝えられなかったからね。君を呼んだんだ」


「君はこの国を潰す以前にいずれは魔王を倒さなければいけない。しかし、魔王を倒すにはある条件がある」


「条件なんて言ってなかったぞ」


「そんなの、魔王様ラブのあの国が言うはずないよねー」


「じゃあ、その条件ってなんだよ」


「えっとね、そもそも君たちがどれだけ力をつけても魔王には一撃も与えられないんだよね。魔王には核が四つあってそれが破壊されないない限り魔王にはダメージが入らない」


 なんだよそれ。魔王はたしかに強いイメージだけどそれはチートだろ。


「核は四つ存在して、赤。青。黄色。緑。とそれぞれ四色に分かれてる」


「わかった。それを集めてくればいいんだな」


「それが、核はどこにあるかわからないうえにスキルとして、人の中にあるんだよねー困った困った」


 じゃあなんで呼んだんだよ。


「そして、今回君を呼んだのはその内の赤をもった人物を見つけたからだ」


 いや、見つけたのかよ。


「ってことは、そいつから赤を奪えばいいってことだよな。そんなのできるのかよ」


「君の役職を忘れたのかい?」


 ....そういうことか。怪盗なら忍び込んで奪えってことね。


「場所は隣の国、オルクスにいる、王女の娘だ。君は姫のいる城に侵入し、姫から赤のスキルを奪ってきてほしい」


 ....行くしかないか。こうなったのも何かの縁だし、いつかは必要な物だ絶対奪ってみせる。


「じゃあ、今すぐオルクスの王城の門に転送するからあとよろしくね〜」




 ........え?















 


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怪盗キス魔~異世界にて見参!!~ カイワタル @Ruin2525

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