ビリーと小ビリー
佐々木 煤
三題噺 「風」「カブトムシ」「魅惑的な枝」
飼い犬のビリーは今年で3歳になるオスのレトリバーだ。名前の由来はのんびりからきている。ご飯を食べてる間に寝ちゃうほどおっとりしている、可愛い可愛い弟だ。
朝の散歩は母、夜は高校生になる私と中学生になった弟が一緒に行っている。ビリーには困った癖がある、枝を必ず拾ってくるのだ。弟曰く、男は魅惑的な枝を拾う生き物らしい。持って帰ってきた枝は枝に置かれある程度溜まったら捨てている。
ある風の強い秋の日、父と一緒に庭掃除をしていた。枝をまとめようとしたら、ビリーが私に向かって吠えた。ビリーは滅多なことでは吠えない。父も私も驚いてビリーに近づこうとしたら、溜まった枝のところに枝を守るようにして立ちはだかった。
「ビリーが吠えるなんて、のっぴきならない理由があるんだろう。今日は枝をまとめるのはやめとこう」
父の言うことに同意して、落ち葉だけ掃いて掃除は終わりにした。
翌日、リビングのテーブルに虫かごが置いてあった。弟が中をじっと見ている。
「ビリーの枝にこんなんがくっついていたんだよ」
見ると、小さなカブトムシがいた。ビリーはカブトムシも捨てられると思ったのだろう。カブトムシはビリーが守ってきたので、"小ビリー"と名付けてうちで飼うことにした。
ビリーと小ビリー 佐々木 煤 @sususasa15
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