木瓜


街の喧騒に、目を覚ます朝

寝息が聞こえる室内は

まだ、夜の香りが残ってる

責め苦のように

私を差した、光が痛くて

今更夢には戻れないから

触れる

揺れる

カーテンに


開いた先では

明日を迎えた

皆が笑って、こっちを見てる


凪げ

私よ、凪げ

糸、切れたあなたは

海へ流れたはずだった

凪いで

心よ、凪いで

もう、結ばれないの

だから、私を困らせないでよ



虚しさで身軽になって

痛みでまた、重荷を背負う

戻りはしない、今日を嘆いて

閉じても、滲む

夕が

憂が

カーテンに


凪げ

私よ、凪げ

糸、切れたあなたは

海へ流れたはずだった

凪いで

心よ、凪いで

もう、結ばれないの

だから、私を困らせないでよ



波打ち際で

糸に繋がった、私が揺れる

笑い声が、聞こえるんだ

もう要らないって

凪に流れて



凪げ

私よ、凪げ

糸、切れたあなたは

海へ流れたはずだった

凪いで

心よ、凪いで

もう、結ばれないの

だからさ

投げ

私は、無げ

糸、切れて流れる

跡には、潮の冷たさだけ

泣いて

心が、鳴いて

まだ、結ばれたいの

だからさ、私は困ってるんだよ


夜空に広がる、星屑のカーテン

開いた先であなたが笑った

空っぽのまま

落ちていった今日を横目に

海に流れる

凪を流れる



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

木瓜 @moka5296

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ