第4話 未来の天才画伯さん
うふふ、ちょっと恥ずかしいんだけど……あのね、毎月、学級新聞に連載を重ねていくうちに、あたし、いつの間にか冬島鉄平くんのこと、意識していたのね。( ;∀;)
発掘したばかりの土偶みたい……なんて思っていたけど、それも苦にならないの。
それどころか、チマチマした目や鼻や口が可愛らしく思えて来たからふしぎよね。
ねえ、これって……もしかして、恋? (≧▽≦)
自分じゃ認めたくないけど、やっぱりそうだよね。
鉄平くんはあたしのことをどう思っているか分からないけど、みんなにからかわれても黙っているところを見ると、意外と、まんざらでもなかったりしちゃう?(笑)
あたしね、物語を書く修業をたくさん積んで、大人になったら、どこかの出版社で本にしてもらうんだ~。挿し絵はもちろん冬島鉄平画伯。それがあたしの未来の夢。
🎲🪄🧩🪅
――秋になりました。
コスモス、キキョウ、リンドウ、ハギ、ワレモコウ。
さびしげな色の花ばかり、ひっそりと咲いています。
青い青い空に真っ白なうろこ雲がひろがっています。
トウガラシみたいに尻尾を赤く染めたトンボが、群れになって飛んでゆきます。
ムラサキシキブの
ススキの尾花が銀色の穂を波うたせ、山の紅葉が里におりて来て、熟れた柿の実をカラスがつつき、晩菊が咲いたままで枯れると、秋がしんしん深まってゆくのです。
水のぼうやは道ばたの石にすわって、変わりゆく景色をふしぎそうに見ています。
そして、池のまわりの木立ちが葉っぱを散らせると、木枯しが吹きはじめました。
🍂
はじめての雪が舞った日のあくる朝早く。
おや? 水のぼうやは首をかしげました。
――なんだか、からだが、ガシガシするぞ。($・・)/~~~
気のせいか、あんなに透きとおっていた肌も白く濁って固まって来たみたいです。
水のぼうやは、あわててからだを動かそうとしましたが、ぴくりとも動きません。
――いったい、ぼくは……どうしちゃったんだろう。(´ぅω・`)ネムイ
水のぼうやは、自分のからだをたしかめようと、腕をのばしたり、足をけったり、頬をつねったりしようと思ったのですけれど、じっさいは、なにひとつできません。
――こんな ときに ねむく なって しまう なんて……。(-_-)zzz
はっきりしない声でつぶやきながら、水のぼうやはゆっくりまぶたを閉じました。
🐶
それからしばらくしたころ、池のあたりを1匹の黒い犬が通りかかりました。
犬は池の淵をのぞきこみ、寒そうに、ぶるんと黒いからだをふるわせました。
――やあ、氷が張ってらあ。
すっかり冬なんだなあ。
ぽっつりつぶやくと、犬は長い尾を丸めて、どこかへ行ってしまいました。
あたり一面が真っ白にぬりこめられる日、間もなくやって来るでしょうね。
冬島くんは天才画伯 🎨 上月くるを @kurutan
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