第2話 今なら言える違和感を感じたら逃げろ


 その後、もう一人、お店に菓子を作ってくれる子が入り、だいぶ楽になった。楽になったのだけれど、やはり、予期せぬことは起るもの、私が倒れてから、2か月後ぐらいに家庭のごたごたで息子が倒れた。ほっとくわけにもいかないので、午前中に連絡を入れて休んだ。

 すると、連絡が来て、材料などはどうしたらいいのか?とか、次の出勤日には入れるのかとか、聞かれた。私も右往左往していたので、材料は冷蔵庫へ入れたら3日は持つので、もう一人の子に作ってもらうように、日曜は多分このままだと危ないので休む方向で、誰か代われる方を探してくださいとお願いした。

 それから、ひと段落した頃に、大変申し訳ありませんでした。次の連休辺りは入れますとLINEを打っておいたが、連絡はなかった。


 まぁ~クビだろなぁ~クビだよねぇ…………

 仕方ないことだけれども、二日も休んだたら、クビだよなぁ……。

 連絡も来ないし、怒られるのを覚悟で、頭を下げて、エプロン返して、終わりかなって思っていた。菓子作りのために新しい人が入ったことを店のラインで知ったので、これで大丈夫だろうという気持ちもあった。

 早く行くべきだったのかもしれないのだけれど、何分、家がごたごたしすぎて、もう、どうしようもない状態だったので、行くに行けなかった。

 そうしたら、ある日「お給料が出来ましたので、天気のよい日にでもとりに来てください」と、LINEが来た。

 デキた人だなって、思った。

 言動は不穏であるものの、なんとまぁ、心の広い人なんだろうと思った。

 続けて働ける状況ではないけれども、常連として、出来る限り通うし、友達にも紹介しようと思っていた。


 天気の良い日、店の営業日、謝罪ついで、ランチついでにお給料をもらおうと、お店まで行った。

 そうすると、お店の前には「体調不良のため、おやすみします」と張り紙があった。やはり、あまり眠るということに意識を置かず、体の方もどうかという状況で働きすぎたのだろうと思い、凄く心配した。

 ラインで「体調大丈夫ですか? お給料をいただきに行こうと思うのですが、〇曜日と△曜日いかがですか? 無理なら別日でもかまいません」と送った。

 すると、〇曜日は夕方から開ける予定なので無理。と、△曜日は午後からいつもの買い出しのため自分がいないかもしれない。店番の方に預けておくがそれでもいいか?とのことだった。

 私は前に帰り際、忙しいのにお給料渡す!と言われ、いや、忙しいだろうから、またでいいというと、店主から「お給料渡すの忘れると困るから、さっさと渡しておくね」と、言われ、一度、お給料をバタバタといただいたことがあったので、早く片付けてしまいたいのだろうと思い、△曜日に行きます。いらっしゃらないようなら、預けておいてください。と返信した。


 そして、△曜日である。

 多分、店主がいるであろう時間帯に私は店を訪れた。まだまだ、ランチの客が残る中、ランチのオーダーストップ時間を過ぎていたので、そこそこ一段落したであろう時間であった。私が店に入ると、客がそこそこまだいた。けれど、パートの方がまかないを別の席で食べているので、そこそこ一段落した時間であったと、安堵した。すると、店主はびっくりした顔をして、奥に入り、なにかを手にして戻り、がさがさとレジを漁り始めた。


 なんかおかしい……給料できているって、話しじゃなしじゃなかったっけ?


 私はレジ前にいるのもどうかと思い、まかないを食べている仲の良いパートさんのとこへ行き、今の状況などを話した。急に抜けてすまなかったこと、けれど、どうしようもなく、家庭がごたついていたこと。店主とは話せる状態ではなさそうだったので、また後日エプロンを返す日にでもと思って、店主にお給料を手渡されたとき、いったんエプロンを返しにまた来ますから、その時にお話ししますと頭をさげ、店をでた。

 妙な胸騒ぎ。

 奇妙な感覚だった。

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