第10話 ヨムカク親子の日常④

澁澤龍彥しぶさわたつひこ訳「ソドム百二十日」でマルキ・ド・サドに挑む◆


――師走のある日、炬燵こたつに入りながら


◇母T(以下T)「ねぇねぇ、聞いてよ。ネット古書店で澁澤龍彥しぶさわたつひこ※①の「ソドム百二十日」買ったんよ」


と、言って「ソドム百二十日」という本をYに見せる


◇T「原作はマルキ・ド・サド※②の未完の小説で「ソドム百二十日あるいは淫蕩学校」※③ 澁澤龍彥しぶさわたつひこ訳は全訳は序章までなんよ。完訳(佐藤晴夫※④)もあるらしいけど、何しろ内容的にかなりハードル高いからねぇ。怖いもの見たさっていうのも確かにあるんやけどね。 澁澤龍彥しぶさわたつひこが、この奇書をどんな風に訳しとるんか興味があってさ」


◆息子Y(以下Y)「え? 完訳 佐藤晴夫って、あの詩人で小説家の佐藤春夫???」


◇T「わたしも一瞬、え? って思うたけど、漢字が違うやろ? こちらの佐藤晴夫さんは刑務官、翻訳家で別人」


◆Y「へぇーそういうのも調べてみると面白いもんやね」


◆Y「そういえばオカン、澁澤龍彥しぶさわたつひこ、好きやもんねぇ」


◇T「うん、エッセイもやけど「唐草物語」「ねむり姫」「うつろ舟」とか。「高丘親王航海記」 も愛読書やね」


◇T「実は、興味を持ったのは、このサドの原作を映画化した「ソドムの市」のレビューを、たまたま読んだのがキッカケなんよ」


◇T「そこから辿たどって、マルキ・ド・サドのことや、「ソドムの市」の映画※⑤を撮った監督(ピエル・パオロ・パゾリーニ※⑥)のことなんかを調べよったら、その謎の死とかもやし果たして、ただのエログロキワモノというイメージだけで捉えてええんやろか、と思ってね」


◆Y「まぁ、オカンらしい好奇心と探究心やねぇ」


◇T「映画の感想レビューも真っ二つ……っていうか、0評価の酷評多数やし、あらすじを文字だけで読んでも、劇薬みたいなグロスカトロジーで、わたし自身の苦手が、てんこ盛りではあるんよ」


◇T「やけ、映画の方は自分の手に余るし無理やって断念したんやけどねぇ」


◇T「でもマルキ・ド・サドの研究者としても知られる澁澤龍彥しぶさわたつひこ訳でマルキ・ド・サドの入口なりと覗いてみようと思ってね」


◆Y「そっかー。確かに普通なら自分は読まんような作品でも、ひょんなとこから辿たどっていって興味を持つっていうんはわかるよ」


◇T「あはは!でもさぁ、こういう本の話も忌憚きたんなく、アンタとできるようになったとは感慨深いねぇ」



(なんだか、しみじみとする母であった。

窓の外は雪がチラチラと。今年もあと少し……)


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

以下、Wikipediaより


※① 澁澤龍彥(しぶさわ たつひこ、本名、龍雄(たつお)、1928年(昭和3年)5月8日 - 1987年(昭和62年)8月5日)は、日本の小説家、フランス文学者、評論家。

➡https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BE%81%E6%BE%A4%E9%BE%8D%E5%BD%A6


※②マルキ・ド・サド(Marquis de Sade, 1740年6月2日 - 1814年12月2日)は、フランス革命期の貴族、小説家。マルキはフランス語で侯爵の意であり、正式な名は、ドナスイェン・アルフォーンス・フランソワ・ド・サド

➡https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%89


※③「ソドム百二十日あるいは淫蕩学校」

悪事と放蕩によって莫大な財産を有する4人の男が、フランス中から拉致してきた美少女・美少年達と深い森の城館で120日に及ぶ性的・拷問的饗宴を繰り広げる物語が、性倒錯、暴力、善悪、反道徳、無神論といったテーマと共に描かれている。小説として完成しているのは序章と第一部のみであり、第二部から第四部は草案の域にとどまっているが、これは時間的・状況的制約のみならず、作者が「想像力を超えたものを表現する」ことができなかった可能性も指摘されている。

➡https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%89%E3%83%A0%E7%99%BE%E4%BA%8C%E5%8D%81%E6%97%A5%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%84%E3%81%AF%E6%B7%AB%E8%95%A9%E5%AD%A6%E6%A0%A1


※④佐藤 晴夫(さとう はるお、1923年1月3日 - 2009年)は、日本の刑務官、翻訳家。

➡https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E8%97%A4%E6%99%B4%E5%A4%AB


※⑤『ソドムの市』(ソドムのいち、 イタリア語: Salò o le 120 giornate di Sodoma, 「サロ、或いはソドムの120日」の意)は、1975年製作・映画祭上映、1976年公開、ピエル・パオロ・パゾリーニ監督のイタリア・フランス合作映画である。

➡https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%89%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%B8%82


※⑥ピエル・パオロ・パゾリーニ (Pier Paolo Pasolini, 1922年3月5日 - 1975年11月2日) は、イタリアの映画監督、脚本家、小説家、詩人、劇作家、評論家、思想家。

特異な作風、後世に与えた影響、そして謎の死など、20世紀の映画史において伝説的な存在である。

➡https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%AA%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%BE%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B

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