今日の日

夏伐

昨日と今日の間に

「今日は何の日か分かる?」


必死につむいだ私の言葉に彼女は不思議そうに首を傾げる。私たちの間に流れる沈黙を波の音がかき消した。


「私たちがつき合って6年目、でもそれは昨日でしょ。もう日付が変わっちゃった」


微笑む彼女の瞳に反射する朝日は、私が差し出した指輪の輪郭をくっきりと照らし出した。


「本当は昨日に言いたかったんだけど……」


「あなたは、本当に……そういう所よね……」


 彼女は指輪を受け取って、微笑んだ。


「今日は、結婚記念日ね」

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