第5話 田楽間の崩壊
「失礼します、葵彩様」
「準備は出来た?」
「えぇ、準備が整いました」
そう言って返すとそこには、甲冑姿に身を包んだ雪音と数人の兵士達が居た。
「そう、なら行きましょうか」
そう言って私は、雪音と共に丸根砦に向かう事にした。
その頃時を同じくして、清洲城の某所
「そろそろ、動く頃か」
そう呟く彼女は、愛刀を抱えながら目の間にある地図を見ていた。
「私が、やつだったら彩華をどこに送る、彩華ならどうやつの命に従うか」
そう彼女は、呟きながら彼女は、地図を見ていた。その最中だった、一人の少女が彼女の部屋に入って来た。
「殿、太守様率いる本隊は、田楽間に向かって進軍中とのことです。恐らくですが、そこで休憩をとるものかと」
「そうか。で、松平軍は」
「そちらですが、丸根砦を攻略する模様です」
そう言うと彼女は、少女に言った。
「なら、田楽間には私が向かうから、朱莉は、妹を大将に据えて大高城を取ってこい。ただし、松平の大将は生捕りにしろよ」
「了解しました」
そうして彼女は、動いたのだ。
そんな事も知らない私は、丸根砦と鷲尾砦と次々と陥落をさせた私は、大高城に入った。しかし、正直に言って鷲尾砦に関して言うとほぼ無抵抗で落とせたのだ。
そんな私を出迎えたのは、この城を守る
「初めまして、葵彩様」
「どうも、初めまして」
そう私は、彼女と握手をしたのだが、、綺麗な少女だと思ってしまった。恐らく、私と対して歳も変わらないだろう。そんな彼女に見とれそうになった私に彼女が話をして来た。
「助かりましたよ、松平様がこなければ飢死にする所でしたから」
そう言った彼女に私は、気になっていた事を聞いた。
「あの、城主様はどちらに」
「その、今は私がここの城主です」
そう彼女が言った。私は、少し申し訳なく思ってしまった。すると彼女は、何事もなかったかのように言って来た。
「では、奥の本陣で状況と今後の作戦を会議しましょうか」
「そうですね」
そう言って私は。弓奈と雪音と私は、本陣に向かった。
「……と言う事があって現在の状況にあります」
そう弓奈の説明を聞いた私と雪音は、正直に言って予想以上にこちらの被害が甚大であった。私達が沓掛城で本隊を待っていた頃に兵糧が尽きたことにより鷲尾砦を落とそうとした弓奈の父と兄率いる部隊が夜襲をかけたが失敗をしてしまった。その時に父と兄は、討ち死をしてしまったのである。
「とりあえず、本隊がつくまで兵糧は持ちますので大丈夫でしょう。しかし、もう一つ問題があって、鳴海城に
正直に言ってこれは、予想外であった。正直に言って私の知っている歴史と少し違っていた。織田美月、織田光乃凛の妹であり、光乃凛を暗殺しようとしたが計画がバレてしまった。その結果、光乃凛の手によって殺されてしまっているはずなのだ。しかし、どういう事かそれが起きていない上に彼女がこの城を包囲すれば最悪だ。万が一、光乃凛が太守様を打ち破った場合、この城を捨てて岡崎に帰るのは難しくなるのである。
「弓奈様、こちらにはどれくらい戦える兵士が居ますか」
そう雪音が弓奈に聞いた。
「おそらく、即応でも五百ぐらいでしょう」
「となれば、我軍と合わせても千五百弱ぐらいですか」
「弓奈様、敵はどれくらいでしょうか」
「おそらくですが、二千かないしは二千五百ぐらいかなと思います」
そう言ったのだ。圧倒的な兵数の違いに、部屋の空気が重くなる。そんな中、最悪の知らせが私達が伝えられたのだ。
「申し上げます、美月率いる部隊が丸根砦に向けて移動中でございます」
「そ、そうですか。本隊はどこに展開しているのですか?」
「太守様は、現在、田楽間にて休憩をしている模様です。どうやら、大雨で行軍を止めているようです」
「そう、分かったわ。下がっていいわよ」
そう言って弓奈は、伝令を下がらせた。
「葵彩様、どうしたのですか」
「いえ、別に何でもないです」
「そうですか、もし話しにくいのであれば私の部屋に来ませんか」
そう弓奈が私に言って来た。しかし、敵軍は目の前まで来ている中で、この誘いは正直に言って異例だ。だが、正直に言って私にとってはありがたい話である。戦時中とは言え、常に気を張っているのはしんどいものである。
「弓奈様がよりしければ」
「雪音様は、どうされますか?」
「弓奈様が良いのでしたら、ご一緒にさせていただきます」
「私は、別にいいですよ」
そう言って弓奈の案内で城の奥にある部屋に向かった。その移動中の頃からだろうか、雨が降って来た。
「ここであれば、甲冑を脱いでも大丈夫ですよ」
そう言って私は、甲冑を脱いだ。
「雪音、あんたも脱いだら?」
「いえ、私はお二人を守るために大丈夫です」
そう言って雪音は、私の傍に座った。
「葵彩様、こちらの書状を見て頂けないでしょうか」
そう言って弓奈が差し出した書状に私は、目を通した。内容は、今川彩華様から湯村弓奈を助け出して撤退をしなさいと言うもので遭った。
「そしてもう一つが、こちらになるのですが」
そのもう一つの書状に私は、驚いてしまった。それは、敵の総大将の織田光乃凛からの書状なのだ。そこには、私と雪音の命を保障すると共に抵抗しないのであれば命を取らないと言うものである。また、湯村弓奈の命の保障も書いていた。簡単に言えば、降伏文書が送られていたのだ。
「弓奈様、こちらが届いたのはいつ頃ですか」
「葵彩様が来る少し前にです」
そう言ったのだ。恐らくは、あの時の作戦会議の時の草は、織田の忍びであり光乃凛はこの情報を知っていると言う事になる。そして、先ほどの伝令の情報が事実であれば、我軍はこの雨で油断をしている。そうなれば、光乃凛は本陣の強襲をするはずだ。しかし、本隊の総数は、六千である。対して、織田本隊の総数は、集めても半分かそれより少し多い程度である。その中で、今川義元の首を取るなど難しいものである。
「とりあえず弓奈様、今は」
そう私が弓奈に話そうとした瞬間、襖が勢いよく開けられた。
「申し上げます、太守様討ち死に、太守様討ち死にでございます。及び、美月率いる部隊に動きあり丸根砦及び鷲尾砦に展開している敵軍その数二千五百、大高城に向けて進軍を開始した模様です」
私は、その知らせに呆然としてしまった。まさか、本当に負けるとは思わなかったのだ。その悲しみのあまりに、私は呆然としてしまったのだ。そんな中、弓奈が伝令兵に指示を出した。
「分かったわ、大高城の現状の兵を全て岡崎に向けます。兵糧は、全て燃やしてしまって構わないわ」
「かしこまりました」
そうして弓奈が指揮を取っている間に私に雪音が話しかけてきた。
「葵彩様、今こそ彩華様を取りに行くべきでしょう」
「でも、太守様の恩が……」
「葵彩、あんたは彩華様と約束したのじゃないの?今川の領地を侵略して、彩華を奪ってその約束を破るの?今のあなたを見たら彩華はどう思うの?」
そう言って来た。確かにそうだ、このような状態で、彩華を奪うなんて不可能だ。
「雪音、これより岡崎城の攻略を行なう事にする」
そう言っていると伝令がやって来た。
「弓奈様、鷲尾砦方面及び丸根砦方面に置いて兵糧を燃やして起きました」
「そうならば、撤退をしましょう」
そう言って弓奈は、甲冑を着て準備をした。私も感傷に浸するのを辞めて、岡崎を目指すために弓奈の部屋を出たのであった。
そして私が退却したの直後だった。織田軍が別の方向から進軍をし始めた。
「全軍、火矢の準備をしなさい」
そう言って雪音に言って事前に撤退をさせておいた部隊が火矢を構えた。
「はなて」
そう私の指示で火矢が城壁に当たった。そこから次々と燃え移って城は、炎の海に包まれた。
「弓奈、大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。ただ、あの部屋に遭った置物を燃やしてしまったのは少し悔しくてね」
「そうだね」
「大丈夫、戦だから仕方が無いよ。行きましょう」
そう言って弓奈は、去って行った。
織田美月陣
「伝令、火の手が上がってしまってこれ以上進軍出来ません」
「先に言ったやつは?」
そう美月が聞くと伝令兵は、首を横に振った。
「まぁ、そうだろうな。で、どうするんだ朱莉」
そう朱莉と言う少女に声をかけた。
「仕方がないでしょう、ここは一度撤退しましょう」
「そうだな、全軍に告げる那古野城にこれより帰還する」
そう言って美月軍は撤退をして行ったのだ。
裏切り者の大将? 虎臥結奈 @Torahusu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。裏切り者の大将?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます