第2話 彼女の長い尾に引きずられる

私の可愛いペットが人間になってから数日、なぜか彼女はすっかり生活に馴染んでいた。

「あやー、ご飯おかわりー!」

金魚の頃は目の前のご飯を一生懸命パクパク食べる姿すら愛おしかったのに、、、人間になった今や可愛さ余って憎さ百倍、遠慮なんて言葉はこいつの辞書に無いんじゃないかというくらい傲慢になっていた。彗星を呪ってしまいたいくらいだが、呪ったところで何をしても可愛らしかった金魚に戻るわけでもあるまいし、言うことは素直に聞いておく。

「はいはーい、大盛りでいいですかー?」

「もちろんよ!あの金魚の頃と同じ量でなんて、エネルギー持たないわよ!」

ぽんぽんと、お茶碗に大盛りにご飯をよそってコメットに渡す、渡されたご飯を見ている時の彼女は、やっぱり金魚の時と同じような可愛さがあった。

「何よ、私の顔に何かついてるの?」

黙っていれば可愛い女の子なのに、、、と思いながら違うよとため息をつきつつ答える。

コメットが人間になってから数日経っているため。

流石に毎日同じ服のままだと不衛生だろうからコメットを服屋に連れて行こうと思っているという話をしたり、今は人間だとしても元は金魚なのに人間と同じものを食べて構わないのかと質問をしたりしながら夕食を食べすすめていった。

『ごちそうさまでした!』

一人でご飯を食べていた頃は食前食後の挨拶なんてしていなかったため、ここばかりは少しコメットに感謝だ。

孤食はやはり無意識にでも寂しく思っていたんだなと考えながら食器を洗う、コメットには食器を拭いてもらう。人間になったからには人間らしいこと、つまり家事をしたいと言い出したので当面は火や刃物を扱わない食器拭き当番にさせた。楽しそうに布巾で皿を拭くコメットを見るとなんだか癒された。

その後お風呂や歯磨き、他にも何だかんだしているうちに、もう寝る時間になった。コメットのワンピースはフリフリで可愛いがパジャマには向いていないと思い、自分の寝巻きを貸しているのだがいかんせんコメットは体が小さく、自分が着たら普通な寝巻きも胸元が開いていて、自分はまさかロリコンでもないが彼女の白く透き通るような肌には見る度に少しドキッとしてしまう。

「あーもう!おやすみ!」

こんな生意気な小娘にドキッとする自分に嫌気がさして強めの言い方になってしまう。

「ん、はあい、おやすー」

コメットはつよめに言われたなんて全く感じもせず、呑気に床に敷かれた布団に入った。

朝までちゃんと布団にいてくれればいいけど、、、コメットにはどうやらとても大変な悪癖があるようだった。









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彗星は突然我が家に堕ちる 鳩羽桐一(はとばきりひと) @KIRIHITOHATOBA0928

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