『人間』が描かれている作品だと感じました

 犯罪――特に『殺人』に関しての考察や想い、実際に犯行に及んだ経緯とその後が描かれています。

 当初、レビューを書こうか迷いました。☆だけにして内容に関しては書かない方が、この作品の性質に合っているんじゃないかとも思いました。
 ただ、この作品に力を感じ、もっとたくさんの皆様に知ってもらった方が良い作品だと思った(その想いが勝った)ので書くことにしました。

 さて、完全犯罪が存在するか否かは分かりませんが、表に出ないからこそ完全犯罪なわけで、作中でも書かれているように軽微な犯罪ならきっと無数に存在するのでしょう。一方、凶悪犯罪にしてもゼロとは言い切れないのも頷けます。『シュレディンガーの猫』のように、実際に観測されるまで分からないというような感じでしょうか。

 いかに殺人(犯行)を実行するかに関する考え方は納得できます。結局、マトモな人間はマトモな考え方で物事を捉えるので、意図するか否かは別として、その考え方から外してやればそのマトモな人たちは真実に辿り着きにくくなるでしょう。
 だから作中の主人公が『犯罪者の思考』へ至ったところに納得がいったわけです。

 それでも犯行対象の老婆には情が移り、殺さなかった。その代わり、彼自身が分析した通り衝動的に別の人間に対して殺人を犯してしまった。
 この点に非常に人間的な部分が表われていると感じました。