第5話
曲をアップしてから数日後、僕宛に手紙が来ていた。差出人の名前は書いていなかったので少し警戒しながら手紙を読んだ。
【次のライブであなたが作った曲を使わせていただきたいです。あなたの曲が大好きでずっと聞いていました】
そこには短い文章だけが書かれていて、封筒にわずかな厚みを感じたので中を見るとライブのチケットが同封されていた。そのライブは彼女の初ライブのチケットだった。
僕は彼女のライブに行った。会場は満席で駅前とは大違いだった。誰もが彼女を待ちわびている。会場が暗くなりスポットライトが彼女を照らす。
「みんなー来てくれてありがとー。今日は私の初ライブ!楽しんでいこー!」
観客を煽り会場のボルテージは最高になる。彼女は歌い始める。一曲目から僕の作った曲だ。今日は彼女の夢と僕の夢が叶った最高の日だ。彼女と目線が交差する。僕を見ると笑顔で手を振った。まぶしいほどに輝く笑顔に透き通るほど美しい歌声。あの日と変わらない彼女の姿に僕はまた魅了された。僕の初恋は叶うことのないものだけれど彼女のステージを彩るペンライトのように鮮やかだった。
初恋のステージ 神木駿 @kamikishun05
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