#11

アメジアの夜。ファリアは今日は仕事。スーパーマーケットで働いてた

ファリアは意外としっかりしてるため仕事でもヘマをせずよくできていた。元々陽キャの一人なため難なくこなすタイプであった

21時を回ったところでファリアの務めはおしまい。着替えて外を出る。今日は何事も無く仕事できた1日だった

正直ゲーム三昧したいのだがこれも社会経験のひとつ。後お金が入るのでやる必要はあった

社員口から出てファリアは空を見上げる。曇っていてまた雪でも降りそうだ。この国は基本的に涼しい国だからだ

そんな涼しい国だが積もる心配はないものの、少し積もって凍結してしまうのも問題だ。滑ったりしたら大変

ファリアは息を吸って吐く。白い息が出た。やはり寒い…。そういえばセレネはどうしてるだろうか。バイトだろうか?

家に帰りつつ歩きながらセレネに連絡をしようとしてた。プルルル、プルルル…

…出ない。しかも留守電メッセージを入れてくれという音声も鳴った。これはもうさっさと寝てしまってるに違いない

元々早く寝る優等生セレネ。21時過ぎて早く寝てるのだろう。通話を切ってファリアはため息をつく

ファリア「ほんとに早く寝るのね。アタシのように深夜まで起きてるのはちょっと不健康なのかしら…」

そういえば他の友達は今一体何をしてるんだろうか。先輩もそうだし同期もそう。後最近友達になれたメイリもそうだ

全員がハーフ種族だ。例えば今、バードンあたりはなにかをやってるのだろうか?まだ家まで距離があるので試しに連絡してみた

プルルル…プルルル…がちゃ

バードン「はいはいこちらハーフ種族のバードンです~」

…なんだその最初の言葉は。心でツッコミを入れてファリアは話す

ファリア「何よそれ。バードン。急に連絡してごめんね?」

バードン「いいよ別に!で、なんの用かな?」

そう言うとファリアは答える

ファリア「貴女今、何してるの?」

バードン「私?今は本を読んでるんだ。国の本。って言ったらいいかな?」

ファリア「へえ貴女は本を読むんだ」

バードン「私だってひとつやふたつの本は読むよ~。今読んでる本は灼熱地帯の国の本なんだ!」

へえ、灼熱地帯…。ファリアは知ってたのかその国の名前を言う

ファリア「リダ国…よね?」

バードン「正解ですの~!なかなか興味深い本なんだ!私達が住んでる国とは正反対な国なんだよ」

ファリア「もしかして貴女、明日のサークルはその話にするの?」

もしかしてなのでなんとなく言ってみた

バードン「当然!だから楽しみにしてね~」

…だろうと思った。ファリアは本を読んでるなら邪魔しちゃいけないなと思った

ファリア「わかったわ。んじゃあ邪魔しちゃいけないしこれで切るわね」

バードン「うんうん。ファリアおやs…え?ママ、どうしたの入ってきて?あっ!」プツン。ぷー、ぷー…

何があった?謎の終わり方をしてファリアはややびっくりした

ファリア「な、何があったの…!?」

短時間だったがとりあえず確認はできたためこれ以上は再び連絡をしようとは思わなかった

ファリア「バードン、お母さんのことママって呼ぶのね…」

そういえばバードンの母はバンシーという不死の種族だった。何かあったのか?別になんでもないか

バードンの不思議な電話の切り方をされた後、ファリアは自宅へと戻ろうとした


翌日。今日も一日寒い気候だった。風がふき、太陽は出てるのに寒い朝だった

ファリアは大学へと向かう。今日はセレネも一緒だ。何かを見せびらかすように手をつないで歩いている

人の体温というのは心地いい。手袋をしなくとも暖かい感触がとても良い。2人してゆっくりと歩いていた

ファリア「ようやく着いたわね。セレネ」

セレネ「はい。講義が終えるまでファリアさんに会えなくなるのが寂しいですが…」

ファリア「校舎に行くまでぎりぎりまで一緒にいましょう」

セレネ「そうですね。ファリアさん」

そう言うと2人は門まで向かった

門まで行くとファリアは目の前の人を発見する。あの後ろ姿…間違いなくアルマだった。ファリアは呼びかける

ファリア「アルマ先輩!」

ちょっと大きい声でファリアは言う。するとアルマは後ろを振り向く。後輩だと思って彼女は2人が来るまで止まっていた

アルマ「やあ!ファリアにセレネ。おはよう」

ファリア「おはようございます。先輩」

セレネ「おはようございます」

そう言うとアルマは笑顔で答える

アルマ「朝から後輩に会えるなんて嬉しいねえ」

ファリア「先輩は今日は朝早くですか?」

アルマ「そうだよ。ちょっとね、朝早くに出ないといけない授業があるから…今来たばかりなんだ」

セレネ「3年なのにこんな朝早くですか?」

そう言うとアルマは頭をポリポリとかく

アルマ「僕の判断ミスだった。簡単に単位が取れそうなちょうどいい授業がよく見たらこんな朝でね…眠たい…」

あー…これはよくある話。簡単なものが実は朝早くだったり夕方近くだったり…

ファリア「そうなんですか…ちょっとしたミスですね」

アルマ「そうだね…ただ君達に会えて嬉しいからさ。僕も頑張れる気がするよ」

セレネ「私達を見て頑張れるなんて嬉しいこと言ってくれて光栄です」

そう言うと3人は周りを見渡す。やはりこの朝から始まる授業があるのか。人が多い気がした

中には早足で向かう人もいた。恐らく農学部だろう。農学部の校舎は結構はじっこにあるのでやはり早足で行ってるのだろう

アルマ「さ、いこ。早くしないと講義始まるよ」

アルマ含めた3人は行こうとする

セレネは別校舎、アルマも別校舎に向かいファリアは授業のある校舎へと向かった

階段を上がり2階へ。そういえばこの授業は友達がいるだろうか?そんなこと考えてなかったため仕方なく行くことになった

教室のドアを開ける。人がいた。ファリアは周りを見渡すと嬉しいことに友達がいた。バードンとジェストだった

ファリアは彼女達の側まで行った

ファリア「バードン!ジェスト!おはよう」

そう言うと2人はファリアのほうに向く

ジェスト「あら!ファリア!」

バードン「やっほーいファリア」

ファリアは2人の側の座席に着いた

ファリア「おはよう2人とも。…そういえばバードン。昨日どうしたの?」

そう言うとバードンは答える

バードン「昨日でしょ?母が突然来て読んでた本が急に読みたくなったとか言って持ってしまったんだよ。急にだよ?」

ジェスト「あら。バードンって本読むのね」

バードン「何いってんの!」

そう言うと教授が来た。そろそろ授業だった


講義が終わった夕方近くの時間

ファリア、セレネ、美治、バードン、ジェストは4階へと向かう。いつもどおりの光景だった

こんなちょっとふざけてるサークルでもあまり問題は無く、ちゃんと顧問付きのサークルなため周りからも何も言われてなかった

5人が4階へ向かうとすでにドアの前で待っていた人物がいた。アルマ、カナ子、そしてメイリだった

ファリア「先輩!メイリちゃん!」

そう言うと3人は声に振り向く。3人とも笑顔だった

アルマ「やあ。今日も僕達が早かったね」

カナ子「飲み物あるから安心してね!」

メイリ「先輩達お疲れ様です!」

バードン「いやいや、先輩とメイリちゃんありがとね。今開けるから」

バードンは鍵を開けて部屋に入る。8人もいると部屋もちょっとだけ窮屈であるが心配はいらない。椅子もきちんとあるからだ

8人それぞれが定位置に着く。まずはお菓子と飲み物だ

アルマ「今日ね、チョコでまぶしたお菓子を用意したよ」

カナ子「じゃーん!今日はみんな大好きジンジャエールよ!」

メイリ「わあ美味しそう!」

そう言うと8人に紙コップに飲み物をいれていた

美治「しかしだいぶ増えたよな。最初5人だったのに今は8人だなんてここまで予想できたか?バードン?」

バードンは答える

バードン「予想はできなかったけど憶測はできたよ」

美治「意味不明だろ!」

ジェスト「まあまあ乾杯して食べましょう」

8人はコップを持って乾杯する。そして飲んだ後、お菓子をつまんで食べていた。このチョコ菓子美味しいものだ

ファリア「うーん!ジンジャエールって美味しいわね~」

メイリ「このチョコ菓子も美味しいです!…でも、手でつまむとすぐに溶けてしまいますね」

ジェスト「そのぐらい溶けやすいチョコなのかしら」

そう言うとバードンは思い出したかのように言う

バードン「溶けるで思い出したけど…私本でリダ国の本を読んだんだ。みんな、知ってる?」

バードンが言うと7人は答える

ファリア「貴女が昨日言ったことよね?私はあまり知らないわ」

セレネ「そうですね…知りません」

美治「あまり聞いたことないな」

3人は首をかしげて言った

ジェスト「灼熱の国ということぐらいね」

カナ子「何そこ?暑そうな国?」

2人もあまり知らなかった。しかし、アルマとメイリは知っていた

アルマ「リダ国…そういえばジャバウォックさんと話してたときにその国の話聞いたよ」

メイリ「知ってますよ先輩!砂漠地帯の国ですよね!」

バードン「アルマ先輩とメイリちゃん知ってるんだね」

バードンが言うとアルマは説明する

アルマ「灼熱地帯とも砂漠地帯とも言える国だね…とにかく暑い。リダ国は春夏秋冬関係無く夏は35度以上、冬は25後度以上の気温さ。

砂漠がほとんどの国で都会以外は砂漠で横断するのは危険だなんて聞くね。リダ国は正しく言うとリダ・アレクサンドリアなんて言うよ」

続けてメイリが言う

メイリ「リダ国の固有種族は魔女と魔術師とリザード。魔女達は後のほうになって固有種族に。リザードは昔からある種族ですって!」

全然知らなかったバードン除く5人だった

カナ子「暑いのは嫌だにゃ。でもアルマならわかるけどメイリちゃんよく知ってるわね?」

メイリ「リダ国に住んでた友達がいてリダ国のことをよく話してたんですよ!」

ここまで言うとバードンも本を読んだ内容を言う

バードン「あそこは…本当に暑いから住んでる住民はほとんど軽装な格好でいるって話だね」

ファリア「私達…いやこの国のように重装して着込まなくていいのね?」

バードン「そう。リダ国の住民達は軽装した格好は多いって。中には男性は上半身裸だったり女性は下着に近いような格好してるってさ」

バードンがそう言うとカナ子は自分の身体を見る

カナ子「う。私の胸が丸見えになっちゃうのかにゃ」

アルマ「いや、そこまでではないと思うよ…」

美治「そういう私も露出しないといけないほどですけどね」

メイリは更に言う

メイリ「魔女と魔術師とリザード…この関係は深い絆で結ばれてるって話です。ダークロード戦争のときから2つの種族は大切にされています」

美治「どんな種族なんだ?特にリザードは」

メイリ「魔女達はイメージどおりの魔術が使える種族です。ダークロード戦争のときに邪道と言われて各地で虐殺がされてしまって…。

侵攻されてなかったリダ国へ逃げ込んだと言われています。現在でもオアシスのような森で静かに暮らしている。とのことです。

そしてリザード。至高の種族と呼ばれてとにかく男女関係無くガタイがいい。ただ寒さには弱いってところは悪魔みたいな感じです」

ファリア「至高ね…。完璧のネレイドと究極の龍人。そして至高のリザードってことね」

ジェスト「リザードってそんな種族なのね。私も似てるわ寒いの苦手ってところ」

セレネ「メイリちゃん随分と詳しいですね?その詳しい友人とよく話してたんですね」

セレネが言うとメイリはちょっと苦笑しながら言う

メイリ「その友人、暑さがだめだから敢えて寒いここへ引っ越したっていう変わった友人なんだけどね」

セレネ「そうなんですか」

美治「どうせ暑いとこだから悪魔協会のほうが多いってやつだろ?」

美治が言うとアルマとメイリではなくバードンが言う

バードン「そうだね。悪魔協会のほうが多いね。そこはアマリリスとあまり変わらないよ」

バードンが言うとアルマが言う

アルマ「実はジャバウォックさんが視察へリダ国へ行ったことがあるんだ」

ジェスト「ジャバウォックさんが、ですか?」

アルマ「うん。でもあまりの暑さでヘトヘトになるわリダ国の悪魔協会のことがあまり頭に入らなかったなんて言ってたねえ。

しまいにはアイスを何個食べたか記憶にないほどだね」

ファリア「アイスを食べないと暑さでやられてしまうほどなんですね…」

ファリアが言った後バードンが言う

バードン「でもリダ国は実は夜が一番涼しくて15度以下になるんだってさ。暑さに弱い人は夜動く。なんてことが書いてあったね」

メイリ「他の国より夜でも活発な国はリダ国のみかもしれませんね」

バードンは読んだ本を思い出したかのように言う

バードン「リダ国ってアマリリスからの直行便があってパスポートさえあれば簡単に向かえるほど楽なんだってさ」

美治「そうなのか。だいたいアマリリスですら暑い国じゃねえか」

アルマ「聞いた話では総本山のアークデーモン様はリダ国に行って視察に来たらしいけどね」

バードン「アークデーモンさん無事だったんでしょうか…」

アルマ「それはわからないね」

バードン「そういえばあそこの悪魔協会は種族が自由で色々な種族がいるって話は聞いたことあるよ」

そう言うとメイリは言う

メイリ「ですね。シダレカ悪魔協会みたく色々な種族が勤めているって話聞きました。魔女魔術師リザード、いるらしいですよ」

美治「そうか。なんだか暑い国の話してたら暑くなってきたな」

バードン「美治すっぽんぽんになる?」

美治「しねーよバカ!」

カナ子「じゃあ私がすっぽんぽんになればいいかにゃ」

突然謎のことを言い出す

アルマ「カナ子。やめよう」

アルマは冷静にカナ子を止めた

ファリア「だけどリダ国って住んでる人は熱中症にならないかほんと心配になるわね」

バードン「なることはなるらしいけど元々そこに住んでる人達のことだから対策はやってると思うから」

ジェスト「そりゃジャバウォックさんアイス何個も食べるわけね…」

セレネ「こうやって他の国の情報を聞くと旅行した気分になります」

そう言うとバードンは調子に乗ったのか言う

バードン「お、良いこというねえ。なら他の国の話をどんどんしちゃおうか!」

しかしバードンは窓を見て確認した

バードン「…夕暮れ時だね。そろそろ終わりにしよう」

美治「はい。バードン。どうぞ」

美治が呆れていうとバードンは言う

バードン「夏は熱中症対策しよう!」

しーん。シンプルイズベストの意味で言っただろうが…

メイリ「ねえねえいつもこんな感じなの?」

セレネ「いつもこんな感じですよ」

メイリ「そうなの」


帰り道。相変わらずファリアとセレネは2人仲良く歩く。夕暮れ時だからか寒い。だが2人でいればちっとも寒くない

ファリア「今日は国の話だったわね」

セレネ「はい。意外とメイリさんが物知りでした」

ファリア「この世界、他にも色々とあるから国の話は楽しくなっちゃうわね」

セレネ「そうですね。…ファリアさんは別の国に行きたいと思いますか?」

そう言われるとファリアはセレネのほうに顔を向ける

ファリア「え?いや別に…この国が一番だからあまり行きたいとは思わないわ」

セレネ「ふふふ…ならいいです」

ファリア「可愛い彼女をほっといて勝手に国に出るなんて馬鹿なことはしないわよ」

セレネ「そうでしたね。失礼しましたファリアさん」

ファリアはセレネの質問の疑問を感じたがこれ以上は言わないことにして2人で歩いて帰っていった


アメジアの夕方

寒く冷え込んだ夜が待っていた




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4Season4Legacy HalfMemories 緑樹ユグ @yugu1120

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