#10
?「…ふうん。色々とサークルはあるのねえ…」
職員室前の掲示板。1人の女性は言う。その女性は身長が高く、大きい体格をしていた。だが、どこか優しそうな顔をしている
緑髪ロング。胸もかなりあり大人の女性として存在してもいいぐらいだ
?「ふむふむ。…ん?このハーフ同好会ってなんだろ?ハーフの集まりで喋りながら楽しむ。へえ面白そうねえ」
その女性はハーフ同好会というものを気に入ったようだ
?「でもどこでやってるのかしら。…4階の個室。あの階ってほとんど閉められているのに。ほぼ独占なのかしらね?」
1人でブツブツ言ってる。そこに職員室のドアが開き人物が出てきた。ミシェルであった
女性とミシェルの目が合う。ミシェルはハーフ同好会のポスターを見たとわかり、その女性に近寄った
ミシェル「おや?もしかしてハーフ同好会に興味を持ったのかな?」
そう言うと女性は答える
?「はい。私も実はハーフなのでこういうの、悪くないなって思いました」
女性が言うとミシェルは笑顔で言う
ミシェル「そうかい?ならおいでよ。私はその同好会の顧問だから。メンバーもきっとすぐに仲間として受け入れてくれるよ」
?「そうなんですか?嬉しい!行きたいです!」
ここまで言うとミシェルは忘れてたことを言う
ミシェル「あ。私の自己紹介忘れたね。私はミシェル。経済学部の教授。ハーフドワーフなんだ。君は…なんていうの?」
?「私はメイリ・デムと言います。ハーフエイリアンです。学部は農学部です」
ミシェル「ハーフエイリアン!もしかして移民の人?」
メイリ「移民に近いですが親の仕事の関係でこのアメジアに来ました」
ミシェル「そうなんだ!わかった。それじゃあメイリ、講義が終わったら私のとこまで来てよ。案内するからさ」
メイリ「はい!わかりました!」
そう言うとメリアは嬉しそうにしていた
昼過ぎのエントランスホール
ここは色々な学部の生徒がいる。今日は後期の単位の講義を選んでいる最中だ。座れる場所だってある
ファリア、バードン、美治、ジェストの4人が講義を選んでいた。真剣そうに単位取得を選ぼうとしていた
ファリア「うーん。アタシはこの教授の講義は嫌なのよね」
美治「そうは言ってもこれが必修科目だったら困りものだけどな」
そう言うと4人はもう一回講義の内容を見ていた
バードン「こんなんさ。ぱぱーっと選べばいいと思うけどねー」
ジェスト「お気楽のアンタだからそう言えるのよ」
だがバードンはあまり聞いていない様子だった
バードン「だからサンバのリズムで丸をしてぽぽぽいぽぽぽいと丸すればいいんだよ!」
ジェスト「アンタは馬鹿!」
ファリア「まあまあ。でもセレネはどうしてるのかしらね?」
美治「お前の彼女だろ。今いないのか?」
そう言われるとファリアは会話アプリの発言をちらっと見た
ファリア「んーと。アタシから言うか。今エントランスホールに来てるから来てっと。これでよし」
バードン「真面目なセレネちゃんだからきっと真面目な講義を受けるんだろうね」
ファリア「どうかしらね?」
しばらく4人は後期の単位を見つつセレネを待つことにした
セレネ「すいません皆さん!」
するとセレネが来た。セレネも同じような紙を持っていた
ファリア「セレネ!さあさあ隣に座って!」
セレネ「はい!」
ジェスト「セレネちゃん講義を受ける授業決まってる?」
ジェストが言うとセレネは4人を見渡して言う
セレネ「そうですね。だいたい決まっています。とはいえど必修科目がほとんどなのであまり自由がありませんが…」
そう言うと4人は思わず納得する。そりゃそうだろう。1年なので自由は効かない。自分らだってそうだったのだから
セレネの書いた紙をさり気なくファリアは見た
ファリア「うーん…確かに必修科目だらけね」
バードンもちらっと紙を見た
バードン「相変わらずだねえ。セレネちゃん、2年になったら自由になったらいいよ。フリーダムに単位取得したほうが一番だよ」
美治「フリーダムは余計な言葉だ」
セレネ「そうですね。まずはこの1年はがんばります」
セレネは言うと大事そうに紙を持った
美治「しかしちらっと見たが他の学部が取るような講義も結構あるんだな…」
ジェスト「学部が多い大学だからそうなってんでしょ」
セレネ「そのとおりですね…」
バードン「ねえねえみんなどうする?私が勝手に決めちゃうけどいい?」
美治「良くはないだろ!」
セレネは既に決めてたが4人は色々と試行錯誤しながら講義の単位取りをしようとしていた
今日は講義は無くさっさとサークル活動できる時間になった
5人は早速サークルの場所へと向かう。なんだかんだ言って楽しみなサークルになった
全員を含む7人は早速サークル室へ。すっかり自分たちのものとなっている
7人は座り、お菓子とジュースをテーブルに置く
アルマ「今日はね、えびせんべいってやつを買ってきたよ」
バードン「いつもありがとうございます。これ…結構細長いせんべいってやつですか?」
そう言うとアルマは言う
アルマ「そうだよ。ジパングにあるお菓子でロングセラーのお菓子なんだ。カナ子、これ大丈夫かい?」
カナ子はハーフアニマルの猫なのでもしかしたらアレルギーがあるかもしれない。だがカナ子は笑顔で答える
カナ子「これは大丈夫だにゃ!」
アルマ「よしわかった。んじゃあ食べよう」
カナ子「今日の私が買ったのはアップルジュースよ~」
そう言うとカナ子は全員分のコップにジュースを注ぐ
ファリア「先輩ありがとうございます。じゃあ、飲みましょう!」
ジェスト「そうね!かんぱーい!」
7人は飲んだあとえびせんべいをつまんでいた
美治「へえ、意外とえびの味がして美味しいな」
セレネ「こういう塩が効いた味はなんとも言えずくせになりそうです」
アルマ「やめられないとまらないっていうキャッチフレーズのお菓子らしいねえ…」
バードン「確かに止まらないやこれ!」
ちょっとの間7人は飲み食いをしていた
アルマ「しかしジパングって独特な文化を持った面白い国だね」
ファリア「龍人、兎人でも珍しそうな国ですよね」
バードン「でも私らみたいな不死も普通にいる国だったりするね」
そう言うと何かを思い出したジェスト
ジェスト「バードン。あんた死術師の存在知らない?」
バードン「え、なにそれ。葬式のときに現れる人?」
ジェスト「違うわよ!ダークロード戦争のときにジパングで活躍した職業!」
ここまで言うとアルマは思い出したかのように言う
アルマ「死術師。そういえばそんな本を読んだ気がするよ」
ファリア「なんですかそれ。怖そうなイメージがあります」
そう言うとアルマは周りを見渡すように言う
アルマ「死術師。要するにネクロマンサーと呼ばれる種族が不死のみしか就くことができない特殊な職業でね。いや、職業というより一種の神職だね。
死の存在を操る、呪いの職業とも呼ばれている。相手を呪い、相手を死なせる、とんでもない職業さ。喧嘩を売ったらまず勝てないって話」
バードン「なんていう職業…ですね」
更にアルマは言う
アルマ「昔、ダークロード戦争の時代にジパングに敵の勢力が来たときにネクロマンサーが大活躍したんだ。相手に死を誘い、そして次々と葬った。
あまりにも効果抜群だったから敵がどんどん士気が下がっていってやがて撤退。これがネクロマンサーの恐ろしくも頼もしい話なんだよね」
美治「すごい人なんですね」
アルマ「ネクロマンサーは政府に表彰されやがて家系がジパングの各地にバラバラに散っていった。何かを求めてバラバラになったんだ。
悪魔の呪術とは違う、死術と呼ばれる術…。読んだ本の最後に現在のネクロマンサーの紹介があって今でもいるんだって思ったよ」
カナ子「そのネクロマンサー、歳を取った人たちだらけかしら?」
アルマ「いや?確かに年寄りのネクロマンサーがいるけど若いうちから死術の極意を学んで未成年でネクロマンサーになってる人もいるってさ」
バードン「いいなー。私なんかなんもできないハーフアンデッドだからネクロマンサーが羨ましいです」
アルマ「ただその死術は本当に身の危険があるときのみしかやってはいけない。と、極意を学ぶ人には仕込まれているんだって」
セレネ「相当な術なんですね。かなり独特な職業ですね」
アルマ「そうだね。…これが死術師と呼ばれる不死の一族の職業。怖いけど頼りになる存在だよ」
ジェスト「なるほどねえ~。呪術とは桁違いに怖そうな術ですね」
バードン「もう今日のテーマの発表ができてしまったよ」
美治「お前ネクロマンサーは怖いけど頼もしいとか言うのかよ」
コンコン…
ドアのノックオンが鳴った。誰だろうか?おそらく教授は間違いないとは思うが
バードン「はーい?どうぞー!」
ドアがガラッと開いた。そこにはミシェル教授と一人背の高い女性がいた
ミシェル「お。やっぱりいるね」
ミシェルが室内に入ると女性も室内に入り驚く
メイリ「わあ~。みんなハーフの種族なんですか?」
アルマ「教授、この人は?」
アルマが言うと教授は言う
ミシェル「紹介するよ。彼女の名前はメイリ・デム。農学部1年、ハーフエイリアンさ。ここへ行きたいらしくて仲間にしてほしいな」
7人は驚く。ハーフエイリアン?4つの国の固有種族ではなかったのか?
セレネ「まあ!ハーフエイリアンだなんて初めて見ました!」
セレネがそう言うとメイリは自己紹介をする
メイリ「初めてまして皆さん!メイリです!ハーフエイリアンだからここへ来てもいいかなって思いました!よろしくおねがいします!」
ミシェル「いいよねバードン?」
バードン「はい!いいですよ入部するなら即時OKです!」
メイリ「やったー!嬉しいです!」
ミシェル「よかった。じゃあ、私はこのへんで」
カナ子「あれ?戻ってしまうんですか?」
ミシェル「仕事が残っているからね。それじゃあ」
そう言うとミシェルはドアに行き閉めた。残ったのはメイリだけだった
アルマ「さあさあメイリ、座りなよ」
アルマは室内にあった残りの椅子を用意してメイリを座らせた
メイリ「ありがとうございます。皆さん自己紹介してくれませんか?」
そう言うと7人は自己紹介をする
メイリ「ハーフエンジェルのファリアさん。ハーフエルフのセレネちゃん。ハーフアンデッドのバードンさん。半人半鬼の美治さん。
ハーフデビルのジェストさん。ハーフゴーストのアルマ先輩。ハーフアニマルのカナ子先輩。みんなハーフなんですね!
嬉しいです。ハーフ種族ってなかなかいないもんですから…どうかよろしくおねがいします!」
言い終えると座ったままお辞儀をした。なかなか礼儀のある人だなとは思った
セレネ「私も嬉しいです。1年がここに来るなんて」
メイリ「私もタメがいて嬉しいと思っているわ!」
バードン「もしかしてさっきまで単位取得を選んでたのかな?」
メイリ「そうです!先輩たちもそうですか?友達と一緒にやってました!」
美治「ハーフエイリアンとは言うけどシダレカから来たのか?」
メイリ「はい。シダレカ出身で高校生のときにこのアメジアに引っ越しました。父が異次元から来たエイリアンで母は人間です」
ファリア「移民、なの?」
メイリ「父の職業の関係でここへ来ました。ある意味移民でもありますね!」
なるほど~。彼女も似たようなものだ。しかし気になったのは身長だった
カナ子「ね、ねえ貴女身長は…?」
メイリ「190センチです!」
カナ子「ま、負けたー!!」
周りは思ったがエイリアンとは身長がでかくないといけない種族なのだろうかと。カナ子が一番でかかったのに二番めとなってしまった
カナ子「ううう…せっかくここまで身長伸ばしたのにこんなときに負けるなんて…玉ねぎを生で食べて苦しみを味うにゃ…」
アルマ「落ち着いてカナ子。しかし君の農学部の人ってあまり見ないね?」
そう言うとメイリはアルマに向けて言う
メイリ「そうですねえ。農学部の校舎ってこの大学の敷地の端っこにあるからあまり目立たないんですよ」
バードン「農学部ってそういえば目立たないとこにあるね」
メイリ「はい。だから朝登校するときもたまに速歩きで行かないと講義に間に合わない場合があってちょっと困りものですよ」
ファリア「そうなのね。ねえ、昼ごはんはどうしてるの?」
メイリ「昼ごはんはいつも講義室で友達と食べてますね。食堂は遠いので…」
この人もそうだったか。アルマとカナ子と同じ話になった
メイリ「でも、皆さんの顔は覚えました。いつか食堂で皆さんと一緒にランチでもしましょう!」
ファリア「ええ。喜んで。アタシたちは昼間は食堂で食べてるわよ」
メイリ「はい!…ところで皆さんはこういうサークルをしてて会話アプリでグループ会話はしてないんですか?」
あ…バードンは今言われて気づいた。そういえばそんなことはしていない
バードン「ごめん。至急作るよ」
美治「ほんとに至急だな!?」
アルマ「そういえばそうだね。作るのは簡単だから早速作ってしまおうよ」
と、言うわけでバードン中心の会話アプリにてグループ会話が作られた。これでサークルの話ができるだろう
8人はグループ会話に入り、これでOK
メイリ「ありがとうございます。もしかしたら質問するかもしれないのでいいですか?」
バードン「任せてよ!」
ジェスト「やっとサークルらしくなったわね…」
バードン「じゃあ今日のまとめと行きますか!」
メイリ「まとめなんてあるんですか!」
一呼吸してバードンは言う
バードン「ネクロマンサーコワすぎ!」
…メイリ以外の7人のちょっとだけ空気が固まる
メイリ「ネクロマンサーって?」
セレネ「さっきジパングにいるネクロマンサーの話してたんですよ」
メイリ「ふーん?」
相変わらずの雑なまとめかた。でもこれでいいか…と思ったバードン除く全員であった
サークルが終わり、今日は日が傾く前に帰れることになった
ファリアとセレネは2人一緒に並んで歩いて帰っている。今日はとても寒かった。夜になるともっと寒くなるだろう
ファリア「しかし今日はネクロマンサーの話といい新しい人が来たなんてほんと驚きの連続だったわ」
セレネ「メイリさんとても良い人そうで仲良くなれそうです」
ファリア「そうね。学科は違えどもセレネの同期だもんね」
セレネ「先輩の読んだ本は気になりますね」
そう言うとファリアは歩きながらだがスマホを取り出した
ファリア「読みたいの?こういうときこそグループ会話よ。先輩に連絡してみるわ」
ファリアはグループ会話でアルマを呼びその本は無いか言ってみた。…するとすぐに連絡が来たのだが…
ファリア「えーと。…あら、既に親しい人にその本を渡してしまったのね」
セレネ「そうなんですか…」
ファリア「ま、まあ仕方ないわね。残念だけど」
セレネ「はい…」
ちょっとがっかりしながら2人は歩いていた
アメジアの夕方近い時間
雪もそろそろ降ってきそうな寒い一日だった
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