私にとっての牧野様とは
牧野 麻也様
https://kakuyomu.jp/users/kayazou
との最初の出会いは「数多の誰かの物語」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885036610
だった。
異世界ファンタジーであるが、ふと惹かれるものがあった。読み進めていくとその完成された世界観と、登場人物の背景、行動、事件につい目を奪われた。特筆すべき点は主人公が、旅人という点である。あくまで傍観者である主人公が英雄たちの記録を伝承する、という形で物語は進んでいく。
そしてなぜこの作品が印象深いものとして私の心に刻まれているか。
それは読者と作者のリアルな交流というものが実現したからである。具体的には、第二話が終わったところで、感想で「こんなのいいですね」といったコメントを残していたところ、牧野様はまさにそれの要望に沿った内容を汲み入れた第三話を書いてくださったのだ。これができるのは限られた条件が揃った時だけだ。長編の書き途中で読者が読み、それを作者に送る、そしてそれを作者がまたアップするというネット小説だからこそ実現できた奇跡である。いつか本屋に並ぶ日が来たらきっと自慢するだろう、私が。
そういえば、2019年のゴールデンウィークにはGWというテーマでリレー小説もやった。あれは楽しかった。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889408453
牧野様の締めは素晴らしかった。いい思い出である。ちなみにあの時の参加者に越智屋ノマ (オチヤノマ)https://kakuyomu.jp/users/ocha
様がいらっしゃるが、あの方が書いた短編(リレー小説とは関係ない)のお話は実際に書籍化されている『5分後に意外な結末シリーズ(学研プラス)』
他の作品を読んでいただければあの方がただものではないことがお分かりになると思われる。
また、牧野様は2019年、KACことカクヨムアニバーサリーチャンピオンシップで
「【KAC10】至高の一篇」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889052067
が編集部賞に選ばれている。現在のご活躍を知っていれば、今から思えばこの頃から徐々に頭角を現していたということになるだろう。
牧野様に失礼を承知であの頃の自分を表現すると、まさに傷を舐め合っていた関係だろう。お互いの創作した作品をアップし、読み、励まし合う。そういった仲間が一人でもいると、創作というのは不思議と生き続けていくものだ。
もう少しリアルな例えで言うと、カイジの地下生活だろうか。帝愛に作られた世界、貨幣、その中で地下で一生を過ごすことも覚悟していた。もちろん地上を目指してはいたが、出れなくてもここで得られた経験はかけがえのないものだっただろう、そうやって励まし合いながら生きてきたのである。
かっこよくいえば、手塚治虫氏、藤子不二雄(A)氏、藤子・F・不二雄氏、石ノ森章太郎氏、赤塚不二夫氏らまだ無名のころに住んでいたという「トキワ荘」だろうか、ちょっとかっこつけすぎたか。
ところが牧野様はある日、帝愛の支配する地下から飛び出した、あの光り輝く地上へ。あの頃のことはまだ覚えている。創作をするにあたって、どうすれば人々の感動を得られるのか、試行錯誤の毎日を繰り返すうちに、何を書きたいのかよりも何を書けばいいのか、に走ってしまうことはよくある。そうするとだんだん書くことが楽しくなくなってしまうのだ。
これらの苦悩は2019年から今もつづく彼のエッセイ
「底辺ITエンジニアの底辺人生のアレとコレとソレ」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889599589
に赤裸々に書き綴られている。そこで思い切って何を書けばいいかではなく、書きたいものを書こう、確かそうおっしゃっていたと記憶する。こうして産声をあげたのが、代表作
「悪役令嬢の継母に転生したので娘を幸せにします、絶対に。王子? 騎士? 宰相? そんな権力だけの上っペラな男たちに娘は渡せません。」
https://kakuyomu.jp/works/16816452218472266922
である。
どれだけ反響があるか、ワンクリックすればお分かりになるだろう。ファンアートの集いもされており、また台湾での公式連載が始まるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いである。
「KadoKadoで、悪役令嬢継母作品が翻訳版として公式連載開始になりました」
https://kakuyomu.jp/users/kayazou/news/16816700428420235461
私はその活躍する姿を見て、まるで自分のことのように嬉しかった。なにせトキワ荘で傷を舐め合った仲である、帝愛の地下で屈辱のなか辛酸を舐め合った仲である。あの中の誰か一人でも我々アマチュアがなんらかの形で活躍できれば、それでいい、そう思っていた。もう十分であり、まさに感無量である。
だがもし、もしもだ。私がなんらかの賞をいただくことがあるとすれば、まず最初にお伝えしなければならない人、それは牧野様と決めていた。もしその時が来ればのことだが。
通常なら嫉妬や妬みもあるかもしれない。
ただ今の私にはそのような感情は全くなかった。なぜなら私はすでに「アマチュア小説家フェーズ4」に到達していたからである。
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