貴方との距離。この恋は「苦い」なんてものじゃない。

自分は前に進んでいるはずなのに、いつの間にか大切な人との距離ができていて、置いていかれてしまっている。それなのに、焦燥感さえ抱くことさえ許されずに、生殺しにされるが如く、無力感と虚無感が胸を締め付けてくる……

読んでいて苦しくなりました。「返って来る無邪気な言葉に、心臓が引き絞られるようだった」という一文が突き刺さって抜けない。そして、ヒロインと幼馴染の間には、いつから溝ができてしまったのか……あるいは最初から別々の道を歩む運命にあったのかと、思いにふけてしまいました。

眩いばかりの「善意」がゆっくりと締め殺しに来る。そんな「恋」を題材とした物語に、圧倒的な表現力や描写力が叩き込まれているのは言うまでもありませんが、改めてmk*さんの心理描写への洞察力に、ただひたすら舌を巻くばかりでした。

このレビューの作品

静かな祈り