黒猫の兄弟
バブみ道日丿宮組
お題:黒尽くめのふわふわ 制限時間:15分
「これは……大事件ね」
引き取った男の子が、黒猫を拾ってきた。
「……ん」
それを渡してくる。
「飼いたいの?」
「……ん」
男の子は言葉が喋れなかった。そのため、親戚の間でいったりきたりしてて、最後には私のところへとやってきた。
私はといえば、なんとかコミュニケーションを取ることができてるが、未だに男の子の心は理解できない。
「ちゃんと育てられる?」
「……ん」
んしかいわないので、どちらかなのかは正直分からないが、男の子の目には力があった。
「じゃぁ、まずは病院に連れてかないとね」
黒猫を抱きしめると、玄関に向かう。
「……ん」
男の子はあとをしっかりとついてくる。
車に乗り込み、スマホで病院を検索。
病院にいったあとは、猫用の餌などをペットショップで購入。
そして帰還。
黒猫には異常がなかったが、ワクチンなどいろいろを注射してもらった。
あとはお風呂に入れた。
どこかで菌をもらってるかわからないから。
「……ん」
男の子は早速餌をあげてる。
撫でられながら、黒猫は餌をぱくついてる。
「私たちもご飯食べようか」
「……ん」
ご飯といってもたいしたものじゃない。
魚をやいて、野菜を切って盛り付ける。
それが二人分なだけ。
「美味しい?」
「……ん」
あいも変わらず表情はわからない。
そろそろ幼稚園あたりに入れなければいけないが、はたしてやっていけるのだろうか。
私は会社で夜まで帰ってこれない。
その間、男の子は私が用意したものを食べてる。今は猫の分もきっちりと用意。
「幼稚園行く?」
「……ん」
目の色が変わった気がする。
親戚の話じゃ、ずっと家に閉じこもらせてたという話だ。
さっきの買い物であっても、るんるん気分なのをなんとなく感じた。
コミュニケーションは取りづらいかもしれないが、男の子もきちんと生きてる。
「なー」
黒猫が椅子を登って、私の膝の上に乗った。
どうやら、誰が養ってくれるかわかってるようだ。
「……ん」
男の子は不満そうだ。
自分が拾ってきたのにと言いたいのだろう。わからなくもないが、主は私。
「ちゃんとこのこを見ててね」
「なー」
子猫ではないが、歳はどうなんだろうか。
甘えてくることから、まだ子猫モードなような気もするが、さてさて。
「ちゃんと餌あげられる?」
夕食後、台所で男の子に説明。
3歳児に何をいってるのかという気はするが、昼はどうしても男の子があげる必要がある。
「……ん」
大丈夫だろうか。少し心配。
「昼抜きでも許してね?」
「なー」
了解したと言わんばかりに、頭を足に押し付けてくる。
「じゃぁ寝よっか」
20時には寝かしつける。
「……ん」
静かに私の後をついてきて、一緒にベッドに入る。
数分も経たずとして、男の子は寝息をかき始めた。
黒猫はいつの間にきたのか、男の子の足元で丸まってた。兄弟とか思ってるのかもしれない。
「……よし」
私はベッドからでると、明日の昼の準備をはじめた。
黒猫の兄弟 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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