テレパス

少女

　テレパスと言う物をご存じだろうか。それは例えば、まさにこの思考を読むこと。この思考、そうこの思考。どのように表示されているか知らないが、とにもかくにもこの思考。

　私はいまここに言います。ここ。ここ、誰が言おうとここ。地球、日本。日本列島の中央より右。フォッサマグナより東。おそらく、北半球。間違ってたらゴメン。

　時間、時間はいまは何時か分からない。教室。フォッサマグナの東にある学校の、教室。学校の名前は西高。東にある西高。

　高さ！？ 高さは、海抜千メートル。多分。じゃなかったら、違う。富士山よりかは低い。宇宙にも飛び出ていない。海よりか高いかも。

　速さ。地球が回るスピードと同じ。つまり動いてない。ロケート机。突っ伏したまま動かないまま。注釈、プレートの動きは無視することとする。

　気温。体感で五度。こころは冷たいけど、斜め四十五度。季節は夏の隣。そう、花粉が飛んでる方。花粉が飛んでて、気候がいい方。

　好きな人。いない。好きな人はいないから、嫌いな人を話す。先生、生徒、親、全部。注、これを傍受してる奴は含まない。

　分かってくれたら、知らない、宣伝、眠気、船をこぐ、喀血、細胞分裂、体細胞、カエル、ノート、斎藤君。

　はっ、油断した。とにかく、これを聞いてる奴、私を助けに来い、来て、来て、ください。へ、分か、分からない？ 場所、分からないの。漠然としてて。

　そうだよ。そりゃ、そりゃそうだ。へ、ははは。だ、だって、テレパスなんてないもんね。そもそも、言わなきゃ、伝わらないからね。そもそも、口に出さなきゃ、伝わらないからね。へへ、ははは。

　斎藤君、君、テレパス、私は知ってる。で、でも、言わなきゃさ、言わなきゃさ、口に出さなきゃ。………… ずっとそのままだよ。やっぱり嘘、テレパスなんてない。知らないから、多分。だから、私に口で話しかけて来てよ。