行くしかねえ未来に
寄る辺ない夜の明け
青白い世界が死ねなかった僕の視界を埋めて
今日も今日とて朝が来た
生きてたくなかった今日が来た
大好きだった人の笑顔すら守れず
周りにいた人達の手すら振り払って
進んだ先はどうしようもない孤独
何も無もなかったあの朝に
そんな日々を思いを馳せる今日も
結局相変わらず寄る辺ない朝
昔ほど孤独じゃ無くなったけど
あの日空いた心の穴は埋められずに
ため息一つ吐いて開けるカーテン
遠くで波が嗤ってら
その先には朝日が昇ってる
なんだお前も嗤うのかい
言い返す代わりに苦笑い一つ放り込み
目が冴えてしまったから出掛ける準備をするのさ
今日は僕の旅立ちの日
出来損ないの僕らしい旅立ちの日
今更どうにもならないから
そんな諦めと、どうにでもなれという自棄と
それを詰め込んだバッグの隙間に忍ばせた希望
これからの旅路に必要なのはこんなもんだろ
消せなかったあの人との写真が入ったHDDは
壊すにも壊せなかったから海に捨てたよ
いつかは消える美しき思い出
どうか綺麗なままで消えてくれ
「行ってきます」も言わずに空っぽな家を出る
ずっと深い穴に建ち続けた古ぼけた家を出る
色んな奴がやってきた
涙や怒りを連れ込んだ奴らがよく来たもんだ
皆それぞれ各々の事情を抱えて
なんだかんだと皆ここを出ていった
良いも悪いもどっちかの別れを置いてって
終ぞ帰ってくる事はなかった
あれからだいぶ経った
もうここには誰も来なくなった
ずっとここを守ってるって思ってたけど
心と体の老朽化だけは止められなかった
またな
もう二度と帰ってくるかよ
お前は勝手に朽ちていけ
僕の感傷とクソな思い出と共に朽ちていけ
ここには僕は居ないけど
今日を生きるどこかの誰かへ
僕はそれでも生きてるから
また苦しい時は連絡しろよ
人生列車始発未来行き 空 @seikagezora
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます