家庭内追放2
「いたっ...!ごめん..」
「私の方が痛いわよ!」
義母がよるの髪を引っ張る音に
「やめろー」
「おい、聞こえてるのか!?おい!」
俺が義母を止める音声がよるの部屋に響き渡る。
「か、母さん!ど、どういう事だ!?」
「ち、違うの...!実はよるがあなたより前の夫の方がよかったって言うからついぶっちゃっただけで...そうしたら、光希くんが殴りかかってきたの!!」
どうしたら、ここまでスラスラと嘘をつけるのだろうか。
「光希がやめろってさけんでるのは?」
「自分で録音するぐらいですもん!自分に都合のいいことを言ってるに決まってるわ!」
「...そ、そうだよな。お前がそんなことするわけないもんな」
父も薄々気が付いているだろうにきっと義母に依存していたくて自分で自分を騙しているのだ。
世界滑稽ランキングがあるとしたら鬼畜なぼっちこと俺が三位で一位、二位は父と義母だろう。
「よるはどうなんだ?」
ここでよるが真実を言えば、すべて解決だ。
義母がよるを睨む。
父はそれに気づくと俯いた。
気が付いていないふりをしているのだろう。
「わ、私は...!」
「よる大丈夫よ!ゆっくりでいいから」
義母が慈愛に満ちたような笑みを浮かべる。
よるはそれに少し怯えるように声を揺らしながら呟いた。
「な、何もされていないよ」
この状況で真実を言う方が難しいと思うが、これで状況は絶望的だ。
本人がそう言っている以上はは俺はこれ以上手出しできない。
「お前、もう出てけ」
「は?父さんにはなぜ?」
「お前、ここまでやらかしておいてよくもまあそんな事言えるな!!!」
父がここまで落ちた姿はなんだか、哀愁が漂っていて見てるこっちが虚しくなってきた。
「ねえ?気づいてるんでしょ?」
「な、何がだ!」
父は喉が枯れてきたのか声を掠らせながらも、怒号を浴びせてきた。
「わかってるんでしょ?」
「お前こそ自分が何をしたかわかっているのか!?」
本当に惨めだ。
「わかった。なら、俺出てくわ」
「お、おい!話はまだ終わってないぞ!」
俺はハンカチで血を拭き、服を整えドアを開いた。
「...」
よるが縋るように見つめてくる。
俺はそんなよるを無視し、家を出たのだった。
「もしもし!!」
俺は近くのベンチで一息つき、昔からの知り合いである俺は母の従弟に電話を掛けた。
「こ、光希くん!?久しぶりだね!!!やっば!声変わりした!?」
おじさんと久しぶりに喋ったが、どうやらあまり変わりないようだ。
だが、興奮しているのか若干声が普段より高い気がする。
「はいーだいぶしましたね」
「うんうん!ってか一緒に酒飲もうよってまだ早いか~」
「はい。あと数年ですね!」
「いや~光希くんもデカくなったな~!確か最後に会ったのもう10年前くらいだよね?」
西上夏目、俺の母の葬式以来だろう。
「多分それぐらいじゃないですかね?それで本題なんですが」
「あ、ああ。そうだよね。用があって電話してくれたんだもんね」
「しばらく、家に泊めてくれませんか」
「逆にいいの!?」
逆にの意味がよくわからないがどうやらokなようだ。
「花憐~これからしばらく光希くんがうちに泊まるって~!!!」
ということで、内田家でしばらく過ごすことになったのだった。
~作者から
ということで本作と同じ世界線である『メインヒロインが美人な親友で修羅場なラブコメ』の主人公とヒロインの登場です~
この作品を読まなくても楽しめると思いますが、より本作を楽しめるようになると思いますのでぜひ!【https://kakuyomu.jp/works/16816927861674672271/episodes/16816927861674776404】
あと新作もよろしくお願いします~
新作→『失恋したらバイト先の美人な先輩に慰められて修羅場になるラブコメ』
【恋人にフラれ女性恐怖症になった主人公。
そんな時、同じ委員会の美人な先輩に声を掛けられて!?
先輩と一緒に失恋から立ち直るシリアスあり修羅場あり、でも甘いラブコメ!】
長期連載予定の新作出ましたので是非とも読んでくださるとうれしいです!
新話更新されました~
新作→『失恋したらバイト先の美人な先輩に慰められて修羅場になるラブコメ』
https://kakuyomu.jp/works/16817330647965671917/episodes/16817330647965862396
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます