メインヒロインが美人な親友で修羅場なラブコメ
はなびえ
出会い編
プロローグ
高校に入学し人生で初めての友達...いや『親友』が出来た。
もちろん、「私たちズッ友だからね~!」とか言ってクラス替え後まったく関わりがなくなる類いの関係じゃない。
というか仮にそうだとしたら悲しすぎる。
現代のJK風に言うとまじぴえんである。
俺は親友が出来たという事実に少し夢見心地な気分で電車に揺られ、いつもより少し早く教室のドアを開けた。
だが、親友と教室ではあまり絡むことはないので俺の学校生活は変わらない。
「内田くんおはよ~」
俺が席に着くと前の席の山仲さんに声をかけられた。
山仲さんはクラスの主要男子グループとよくつるんでいる女子で男子から根強い人気がある女子である。
俺にこうして声をかけてくれたのも社交辞令だろう。
その証拠に他の男子生徒にも眩しすぎる程の笑顔を振り撒いている。
こういうタイプの自分の事を可愛いと理解している女子って小6くらいから出現するよね。
ちなみにソースは初恋の子である。
その恋が実ったかはお察しの通りであるのだが...
そんな事は置いておいて俺は1限目の準備をし、親友から薦められたラノベを開いた。
いざ読もうとしても周りが騒がしくどうも集中できない。
特に教室の右端前が一番うるさかった。
いつもの事である。
その原因はクラスでも飛び抜けて人気のある美澤 怜奈と目黒 花憐のせいであろう。
「花憐~!今日あっーそぼ!」
美澤さんがいつも通り目黒さんにすり寄っている。
「今日は無理かな~」
ハイテンションな美澤さんと対比するように目黒は至って冷静な様子だ。
「え~!わたし、花憐がいないと生きていけないのに~」
「なら、ごめん。御愁傷様です」
「え~!ひどいよおお!」
この2人を中心としてその取り巻きの連中が
「強烈だなあ」とか「怜奈どんまい」などと言い笑いが起きる。
こうやって一人一人が自分に振り分けられた役に徹してるのは素直に凄いと思う。
俺には絶対に無理だ。
「今度付き合ってあげるから」
「なら、いいか!」
一頻り会話が終わったであろう所でチャイムが鳴った。
「やべ~」などと言いながら陽キャ達は目黒の席を離れていく。
やっと静かになった...
それから程なくしてうちの担任の杉田先生がガラガラとドアを開け教室に入ってきた。
それに伴い日直が気だるそうな声音で号令をする。
杉田先生は初老であるということを感じさせないほどキレのある動きで一礼した。
うちの高校は私立高校なので学校馴染みの先生らしいが昔はめちゃくちゃ怖かったらしい。
まあ、今は丸くなったのか女子達からは「可愛い」なんて言われているのだが。
杉田先生は教卓の椅子に腰をかけると連絡事項を話し出した。
それにつられて皆の視線もそこに向く。
それを見計らったように目黒がこちらを見つめてきた。
長い睫毛に宝石のように茶に輝いている瞳。セミロングで下ろしてある栗色の髪に豊かな胸。
まさに清楚系といった容貌している。
そんな普段目黒が教室で見せるクールな表情ではなく甘えるようなでも少し意地の悪い笑みを浮かべ、口パクで(...おはよ)と呟いた。
そう俺の『親友』とは目黒 花憐である。
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