第014話「スーファと不思議なダンジョン ②」
【荷物預かり処】
【荷物お預かり無料】
【安心・安全】
【馬車お預かり、餌付き・屋根付き】
【ダンジョンまでの送迎無料】
「なんですかこれは?」
立ち並ぶ店々の看板。ミーシャに読んでもらって改めて驚いた。
「これは、」
リューカの街の宿は独特なサービスを展開していた。どれも交易都市キリムでは見られなかったものだ。
「いったいこれは何なんですか?」
「あれは自分たちの荷物や馬車、ダンジョンで獲得したアイテムなんかを預かってくれる所だよ」
つまりは貸金庫屋(?)みたいなものだろうか。
「それにしても多いですね」
通り全てがそうではないかと言うくらいに預かり処があった。
「あんまり信用しない方がいい。預かり処を真似た詐欺まがいのところだってある。うっかり騙されて全財産なくした冒険者だっているって話だよ」
「でも、ダンジョンに潜る冒険者にとって荷物の管理はちょっとした問題ですね」
きちんとした宿屋にはもちろん荷物やアイテムを保管してくれるところもあった。しかし、安宿などは警備がゆるくよく泥棒に入られることもあるという。
ギルドに預けることも可能だが、スペースなどの問題でお金以外は預けないという冒険者も多いということだった。
「うう。この世界にネ●さんはいないんだよ」
誰だろう。スーファの想い人だろうか。
「ダンジョンに潜っている間、荷物なんかの管理をしてくれるんだよ」
でも、タダで預かったりしてお店の損はないのだろうか。
そう思ってミーシャに聞いてみると「1か月して持ち主が戻ってこなかったら、アイテムはすべてお店のものになる」ということだった。いくら初級のダンジョンと言っても命をなくす冒険者も少なくない。汚い言い方だが、預けてくれる冒険者が多くなればなるほど店の利益につながるのだ。
それにしても、屋根付きとか……なんか、空港前の駐車場みたいで面白かった。
「荷物を預けるところは決まっているから、まずは買い物だ」
「えっ、お店決まっているんですか?」
スーファはしばらくの間このダンジョンにお世話になっていたということだった。
ダンジョンなんて面倒くさくて挑戦していないかと思ていたのに……意外だ。
「な、なんだよ?」
私の視線に気づいたのかスーファが気味悪そうにする。
チッ、気づかれたか。
「いや、意外と考えて行動しているんだなって感心したところ」
「ふふん。やっとオレの偉大さに気づいたか」
スーファは自信満々に胸をはった。
「いや、多分違うと思いますけど……」
ミーシャの言葉は耳に届いていないらしい。
「まず、ダンジョン探索に必要な道具を買おう」
◆ ◆ ◆ ◆
【ネネ】
「トルネコの大冒険 不思議なダンジョン」の主人公トルネコの妻。道具屋を切り盛りし小さな店をどんどん大きくしていく剛腕の持ち主。ダンジョン攻略がうまくいきすぎる(※27階にある幸せの箱を持ち帰る)と小さなお店が攻略3回目にしていきなり大豪邸になる。
【空港前の駐車場】
飛行機で旅行や出張へ出かける人のために、空港近くにある有料の駐車場。空港までの送迎などのサービスがある。屋根がある無しで価格がかある。
スーファと不思議な迷宮(ダンジョン) 須賀和弥 @vision_com
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