胸が痛くなってくると私は

胸が痛くなってくると私は、白い魚を想像する。白い床の上に寝かされた、ぼけた白い色の、細身の魚。

胸には大きな釣り針がしっかり刺さっている。


あなたの魚がここにいる。

冷たい場所で、思い出したようにのたうち回る。

あなたの魚はいつしか人間の女の子の姿をしている。痛くて自分ではもうどうしていいかわからないのに、声は出なくて涙も出ない。

自分が消えていくのをじっと待っている。消えたくない。

消えたくない?

私が消えてしまえば、痛いこともないのに

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