新生
7月1日
《晴れ 風もなく穏やか》
はじめて、全員の前で話した。話したいことがある、と1人ずつ声をかけて集めるのは少し苦戦したけれど、口ではなんやかんや言いながらも根は優しい彼らは、食堂の椅子に腰掛けてぼくの言葉を待ってくれた。
改めてシリルを迎え入れること。彼の自己紹介。それに、今までの謝罪。
ぼくはパロット元船長に選ばれてから、一度も「船長」としてみんなの前に立てていなかった。彼らに聞く気がなかったのも事実だけれども。
みんなの前に立つのは、緊張した。声が震えて、喉がきゅうとしまって話しにくかった。それでも、10人分の呼吸がぼくの言葉を受け止めてくれた。素敵な人たちだ。ぼくは、彼らを導ける人になれるだろうか。なれたら、それ以上の幸せはないだろう。
そして、今後の最優先の目標を掲げた。
「イエローダイヤモンドを取り戻す」
ぼくの宣言に、誰もが頷いてくれた。舵は、西へ。
カナリア船長の航海日誌 水鳥彩花 @mdraaa
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