6月30日

《晴れ!》


 昨日はシリルの名前が聞けた。嬉しさのあまり日誌を書くのもままならず、沢山話して、疲れて、二人でたっぷり眠った。


 シリルは、ぼくを「船長」と呼んでくれる。誰一人呼んでくれない肩書きは、胸にじんと沁みる。呼び方一つで、こんなにも潤うなんて思わなかった。

 自分が船長である、と何度も何度も心の中で言い聞かせてきた。たとえ呼ばれなくても、認められなくても、パロット元船長に選ばれたのはぼくなんだって、忘れないように。

 彼の真意は未だにわからないけれど、期待に応えたくて必死だった。ひとりよがりで、身勝手だった。もっと、みんなのことを見ないと。シリルと向き合えたように、9人の船員たちともわかりあえるはずだ。だって彼らは、シリルよりよっぽど言葉が通じるしね。


****

カナリアとシリルの話はこちら

(https://kakuyomu.jp/works/1177354054889351106/episodes/1177354054889351126)

かなり前に書いたものですが、思い入れがある作品です。何故か何回やり直してもリンクがうまくいきませんが、読めるみたいです。お手数おかけします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る