#24 エピローグ

 半年後――。

 豪華客船のスイートルームについているプライベートデッキのベンチに並んで座り、アシュラフとサラは語らっていた。深夜近くまで続いた結婚披露宴のにぎやかさとは対照的な静けさだ。

ラフィーブの港に停泊中の客船に各界のセレブが招待され、盛大な披露宴が行われた。サラは伝統的なラフィーブの花嫁が着る青の民族衣装。アシュラフは西欧のタキシードだった。

「お互いの伝統を取り換えっこしたわけね。なかなか心憎い演出だわ」

 相変わらずスタイリッシュなスーツに身を包んだマイケルが、ビデオを回しながら二人を祝福した。

「リリアナのときといい、ラフィーブの結婚式には縁があるわ。これからもちょいちょい来ることになりそうだからよろしくね」

 マイケルの言葉に、アシュラフは苦笑いする。


 披露宴後、船は世界をぐるりと回る。一カ月かけた新婚旅行だ。

 その旅行から帰ったら、サラはラフィーブの地質学研究所の職員として働くことになっていた。けれども旅の間は、アシュラフと自分のことだけを考えていたい。

「アシュラフ。海の上で見る星空も最高だわ」

「ああ、そうだな。空を見ていると、人間なんて本当にちっぽけなものだ」

 アシュラフはサラの肩を抱き寄せる。

「でも僕の君への愛は、この大空と同じくらい大きい」

 そう言って、笑いかける。おおげさなアシュラフの言葉に、サラは照れたように目をそらす。

「それは……大きすぎるわよ。とても受けとめきれないわ」

「それなら、もう少し小さい愛を受けとめてくれないか。月明かりの届かないところで……」

 そう言って差し出された手に、サラはそっと自分の手を重ねた。


― 完 ―

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【漫画原作】君の瞳は砂漠の星 ― Shining Stars in The Desert ― スイートミモザブックス @Sweetmimosabooks_1

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