第15話 私の結論とその後の予測

 やっと結論 私の言いたいことを、言ってくれた人がいた。

「ウクライナでの戦争についてゼレンスキー大統領は、(ロシアの)プーチン大統領と同じぐらいの責任がある」――。ブラジル大統領選の左派の有力候補であるルラ元大統領が、こんな持論を披露した。米タイム誌が4日、ルラ氏のインタビュー記事を公開した。ルラ氏は10月の大統領選に向けた最新の世論調査で首位に立つ。現職のボルソナーロ大統領の35%に対し、ルラ氏は41%とリードしている。

 ルラ氏は、ウクライナがNATOやEUへの加盟を脇に置き、ロシアと交渉をするべきだったと主張。プーチン氏は戦争を始めるべきではなかったとしながらも「プーチン氏だけではなく、米国もEUも有罪だ。両者が『ウクライナはNATOに加盟しない』と言えば、事態は解決していた」と述べた。ルラ氏は左派である。私も左派?ということになる。

 私は経済的な結びつきのEU加盟は求めてもいいと考える。プーチンの一番の関心事はあくまでNATOである。EUとNATOをセットにするからややこしくなる。どだい二つは無理だ。一つを脇に置いて粘り強く交渉すべきだったと思う。


 ソ連崩壊後の経済的落ち込み、混乱はロシアで見た。ウクライナとて同然であった。経済を何とかしたい! EU、NATOとロシアの綱引きの中でウクライナは呻吟したのである。西に寄ると、ロシアはガスを止めるという意地悪をする。東によるとEU推進派が騒ぐ。ウクライナは親欧米派、親露派と政権が揺れるたびに混乱が生じている。それはすなわち両方を必要としていることに他ならない。一政権内でも両方に振れるような対応をしていることがある。クリミア併合・東部州紛争の発端となった2014年のウクライナ騒乱(ユロー・マイダン革命)は、ヤヌコーヴィチ大統領政権(親露派)が、どちらから有利な経済支援を引き出せるかのケチな駆け引きをした。引き止めたいロシアはお金を積んだ。ヤヌコーヴィチがEU加盟の前提になるクライナ-EU 連合協定の署名を中止したことから始まった。


 アメリカが入ると何かとややこしい、と私は思っている。EUとロシアが西と東から手を差し伸べて、ウクライナを応援してやる道はなかったのか・・。やはりNATOは脇に置くしかないと思うのだ。

 何よりウクライナは経済的な自立を図ることが一番である。エネルギー資源を持たないウクライナはロシアに資源依存をしている。どう考えても、ロシアと仲たがいしてはやっていけない国だ。EUからの資本導入、それには国内の安定化が大事である。国内の融和・統合を根気強く国民に説いて行くしかない。そこにNATOを乗せては問題を複雑にするだけである。

 

 デレンスキーも欧米一辺倒のポロシェンコと大統領選を競ったとき、東部分離主義勢力との戦闘について、軍事力での解決は非現実的であり、国内を疲弊させているとしている。既に占領されたクリミアについては「現実的に考えればロシア側での政権交代などを待つしかない」としていた。しかし、当選時7割台だった支持率は2割まで下落した。特に、「ミンスク合意」を、認められないとする強硬論を唱える民族派(これらをプーチンはネオナチと云う)の猛反発に直面。自らの局面を打開するため方針転換をした。これでロシアとの関係が壊れてしまった。

2019年、プーチンもメルケル・マクロンの仲立ちで、この年大統領になったデレンスキーを入れた4者会談に応じている。捕虜の交換や話し合いの継続が確認されていた。

 こう考えると、防げた戦争でなかったか?デレンスキーに外交力が不足していたと私は見る。プーチンが戦争をちらつかせたとき、プーチンと会談したのはフランスの大統領と、ドイツ首相だけであった。防げた戦争を防げなかった大統領として私のデレンスキー評価は辛い。戦争になってからのゼレンスキーは中々のいい役者だと思っている。


 今回のバイデンを見ていると、ウクライナを欧米同盟の団結の手段として利用したとしか思えないのだ。あの、アフガニスタン撤退のあの屈辱を晴らしたい思いもあるのだろうか・・。TVでウクライナの状況を観ていると、プーチン、デレンスキー、バイデンの順に腹が立つ。本質を語らないメディアの専門家にも腹が立つ。非人道的と報道される。人道的な戦争なんてあっただろうか?首都キーウイなんて空爆でバンバンやられるのではないかと思っていた。

 戦争は変わった。かつては報道記者が命懸けで入り込んだ映像だった。今はスマホで直ぐネットにアップされる。一般市民が報道記者みたいなものだ。昔、見られていないところでは、戦争は極悪非道がまかり通った。プーチンだって、あれでも世界の目を考えた難しい戦争をしているのだ。なら最初からしなければいいのにと思うのだが・・。


 大国でも戦争だけで一つの国を思い通りには出来ない。日本、ドイツ、ベトナムのアメリカしかり。ソ連、アメリカが絡んだあのアフガニスタンにしてもそうである。歴史が教えている。

 EUとは共存しなければならない。ヨーロッパの孤児になってはいけない。私がプーチンの側近なら、「お気持ちは分かります。ですが、テーブルクロスの下ではいくら蹴り合ってもいいですが、クロスの上での喧嘩はいけません。まして、先に手を出せば負けになります」と注進するのだが・・。

             


       了

後記:これから?首都キエフは攻略されて、短期戦に終わるだろうと、プーチンもアメリカもそう思っただろう。私如きが予測出来る筈もない。

ここまで国民が団結して持ち堪えられるとはゼレンスキーも思っていなかったと思う。バイデンも、ウクライナの健闘を見て全面的に支援、長期戦になるだろうは必死。石油価格の高騰があっても、イランの核合意にアメリカは早期に戻ろうともしない。ドイツの経済のことなど考えずロシア産ガスを止めろと云う。アメリカはそんなことには全然構っていない。ロシアをNATOで囲んでプーチン叩きに専心。ロシアは黒海の海岸部を占拠してウクライナを囲い込み。囲い込みっこの睨み合いっこ。ウクライナの一部を占拠し続けていれば、ウクライナのNATO加盟は阻止できるとプーチンは考えている。

長引けば、難民を受け入れている国々も大変、武器支援する国々も大変。世界の経済も大変。そうそういつまでも支援できるわけではない。熱は冷める時がやがて来る。最後はウクライナの決断にかかっている。戦車ではなく、もっといいものを支援して貰える道を考えねばならない。


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プーチン・ウクライナ・そしてNATO 北風 嵐 @masaru2355

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