最終話 うん、見事なオチだ!

 隣の部屋からやって来たのは…、

「なんじゃ騒々そうぞうしい。もうちっと静かに出来んのかソニア」

 ちっちゃい女の子…にしか見えないけど語尾が『じゃ』とか付けるって言ってたからかなり年上なんだろうなあ。

「お師匠様! お客様ってこの人達ですか!?」

「そうじゃ。おお、お主が召還されたおなごじゃな。この辺の奴らと雰囲気が違うからすぐ分かったぞ。いやあすまんすまん」

アハハと笑いながら謝ってきたけど、絶対すまないとは思ってなさそうな感じがする…。

「さて、ソニアは薬か?」

「そうなんだよ。あと2粒しか無くなったから作ってほしくて」

「うむ。在庫があるからそれを…は、ハクション!」

 くしゃみをしたとたん、ポンッて音がして部屋の真ん中のテーブルの上にマンガ本が出てきた!

 「ふむ…またやってしもうたか」

…召還ってこんな風にするんだ。

「この本は…ふむ、怨霊と戦う話か。前にこれと同じ話を読んだのう」

「お師匠様、これ次の話みたいですよ」

いや二人で愛読してるのかーい!

 「召還って何もなくても喚べるの?」

「ふむ、通常は等価交換で喚ぶのじゃが、わしは魔力と交換で喚べるのじゃ!」

「とうか…交換って、なんかで見たような」

「お師匠様、それ錬金術の話です」

そっちの本も召還してそうだなあ、この調子じゃ。

 「すいません、話を戻しますが、この娘を元の世界に戻す方法は無いのですか?」

騎士団長さんが聞いてくれた。ワタシ、こっちの世界が楽しいからすっかり目的を忘れてたよ!

「うーむ…」

と言いながら腕組みをして考え事をし始めたお師匠。

 「トゥール、元の世界に戻すために必要な道具はそろっているかのう」

「お師匠様、これとそれとあれが品切れです」

トゥールと言われた少年がお師匠に伝えてる。

「むっ! そうか。では代用品を使おう」

 代用品有り…なんだ。なんかテキトーなんだけど。

「ホントに大丈夫なの~?」

ジト目で魔法使い二人を見るワタシ。

「何を言うておる! 腕前は確かじゃ!」

プンプン怒り始めたお師匠をなだめるトゥール。

 「ま、いいけど」

不安半分で作業を見るワタシ。

 お師匠は弟子のトゥールにさしずしながら床に何かの図形を描いていく。

 ソニアと騎士団長さんはそばの椅子に座って様子を見ていた。

 ワタシはこっちに来た時と同じく制服に着替えてその時を待っている。

 「よし、出来たぞ」

「お師匠様、こちらも準備終わりました!」 「うむ! 娘よ、ここに立ちなさい」

 言われるままに図形の真ん中に立つワタシ。

「さて…」

 お師匠は何かの呪文を唱える。

 ワタシの足元の図形が光り出す。

 少し体が浮いた感じがした…。

と、思ったら床に足が着いて光りが消えちゃった!

「えっ!? なに!? どういう事!?」

 キョロキョロ周りを見ていると、

「ふむ…魔力が足りなかったようじゃな!」

…『じゃな!』じゃなーい!!

 「って、事は…」

「ワシの魔力が貯まるまではまだこっちで待っていてほしいんじゃが、良いかのう」

「それってどのくらい待つの?」

「うーむ…1ヶ月くらいじゃな」

 1ヶ月かー。1ヶ月…あっちではテストが終わる辺りだな!

「うん、いいよ~」

「ツカサ、いいのか?」

心配そうにソニアが聞いてきたけど、

「だってまだこっちの世界よく分かってないんだよ? けんぶんを広めるのって楽しくない?」

とか、それっぽい理由を言ってみたら、

 「見聞…そうだね! アタシもそれに付き合うよ!」

…なんか下心見え見えなんだけどあえて突っ込まないようにしとこう。

「なるほど…ではその間のワシとの連絡役に、このトゥールをお供に付けてやろうかのう」

「…て、ええ~?!」

トゥールが驚いた。

「この機会におなご嫌いを直してこい!」

「ボクは嫌いなんじゃなくて苦手なだけですから!」

 …道理でモジモジして話しかけづらそうにしてたわけだ。

「まあとにかくこいつも連れていってくれ。頼んだぞ」

「いいよ~」

「まあ、ツカサが良いって言うんなら…」

しぶしぶ承諾したソニア。

 騎士団長さんが、

「ソニア、ツカサさんに変な事するなよ」

「アタシが信用出来ないって言うの?!」

まあ、言われるよねそりゃ。

 ともかくワタシの異世界旅行(になった)はもう少し続きそう。

 とりあえずあのおじいさんにお礼と旅の話をしてこようっと!

                〈 完 〉

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イマドキJK(隠れ厨二病)が異世界召還されたので魔法が使えるかと思ったらどうやら違うみたいなのでのんびり旅をしてみます 東寒南 @dakuryutou

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