第8話 旅は道連れ変態(?)再び
騎士団に捕まった翌日。
ワタシはソニアと騎士団長さんの三人で城の門に来た。
昨日、多分ワタシを召還したんじゃないか?
って人を訪ねようってなって、騎士団長さんも一緒に行ってくれる事になったんだ。
「アタシだけでいいのに」
獣人形態のソニアがグチる。
「ダメだ。お前を放し飼いにしてツカサさんに何かあったらこっちが困る!」
昨日ソニアが女の子好きなのを知ったから、ワタシもその方がいいってOKしたんだ。
「それに、元団長からも『お願いする』と手紙をいただいたからな」
ソニアがおじいさんから預かってきた手紙、団長さん宛てだったんだって。てか、
「あのおじいさん、元騎士団長だったんだ…」
「あー、そういや話してなかったねえ。引退して田舎で暮らすっていうんでアタシも一緒に辞めて世話役になったのさ」
「お前…女の子にちょっかいかけまくって問題になったから辞めたんじゃなかったか?」
「えー? そうだったっけ?」
…やはり辞めたのには理由があったか。
「まあ、そういうわけでよろしく頼む」
「こちらこそ!」
「やれやれしょうがないねえ」
「「あなたが言うな」」
そんな事を言いつつ城門をくぐる。
「さて、その召還した人物はどこに暮らしているんだい?」
「この先のゴーダス村に弟子と共に住んでいるらしい」
それを聞いたソニアはアゴに手を当てて顔をかたむけた。
「ゴーダス村? ひょっとしてその人って語尾が『じゃ』って言っている人?」
「ああそうだ」
「…アタシが変身薬の調合を頼んでいる人だ」
ってことは、ソニアの知り合い!?
「そうなんだ…」
とりあえず
ゴーダス村の
その家の前をホウキで掃除をする黒いローブを着た少年…といっても見た目は15、6くらいに見える。
つい先日、司のスカートをめくってしまうというラッキースケベをやってしまい、ソニアに吹っ飛ばされた少年だった。
「ふー、キレイになったかな?」
うーん、と背伸びをして掃除道具を片付ける。
「お師匠様、『今日は客人が来るかもしれないから掃除しといて』って言っていたけど、誰だろう?」
女性が苦手なので男性が来る事を願いたいが、そうもいかないだろう。
「えーと、後は」
「おーいトゥールゥ、ちょっと戻ってきておくれ」
家の中から声をかけられる。正式にはトゥールというのが少年の名前らしい。
「はーいお師匠様、今行きまーす」
タタタッと、家の中へ駆けていく。
「ここ?」
「そうそう。今日はいるかなあ」
「…事前に行くと連絡したんじゃなかったのか?」
「んー、連絡しても気まぐれでどこかへ出かけたりする人だからねえ」
どうやらその魔法使いさんは落ち着きが無いタイプの人らしい。
「ま、いいや。たのもーう」
「ツカサ! まずはノックしてから!」
「そしてお土産を忘れず渡さねば! 初対面は礼儀作法が最も大事だぞ!」
二人とも真面目だなあ。てか礼儀正しいっていうのかな? これは。
ワタシはドアをノックして挨拶しながら開けた。
「こんにちは~」
中に入ると、リビングみたいな部屋があった。魔法使いの家っていうから、大きな鍋でも置いてあると思ったのにひょうしぬけ(漢字はわからない)だよ。
「あ、いらっしゃいませ。お師匠様に御用ですか?」
となりの部屋から黒い服を着たワタシと同い年くらいの男の子が出てきたんだけど…、
「あ…れ?」
「あ、アンタは!」
「ワタシのパンツ見た奴!」
「ツカサのスカートめくった奴!」
「…どういう知り合いだ?」
あきれながら騎士団長さんが聞いてきた。
「誤解です~! ボクはお師匠様にこの娘をここに連れてきてと頼まれて行っただけです~!」
誤解を解こうと説明するトゥールの声を聞いて、隣の部屋から誰かがやって来たみたい。
この人が…ワタシを召還した魔法使い!?
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