第7話 あの人…そんな過去があったのか

 食堂で騒動を起こしちゃって、ソニアと一緒に王国騎士団に捕まっちゃったワタシ。

武器も騎士団が持っていっちゃったし、連れていかれたのが…。

 「……」

「おや、緊張しているのかい? ツカサ」

「そりゃそうだよ~。牢屋に入れられると思ったらこんな立派な部屋に来させられるんだもん」

ここはお城の中の部屋の一室。とてつもなく高そうな家具とかツボとかがいっぱい置いてある。

 このソファだってそう! ひと目で高そうな彫刻とか彫られていたりしてフカフカ!

 あちこち触って壊したりしたら大変だと思って緊張でカチカチになっていると、

 「待たせたな」

さっきの騎士団団長が他の騎士と役人みたいな人と数人でやって来た。

「さて、単刀直入に言おう。お前、誰だ?」

って、ワタシに聞いてきた。

「このはアタシの連れで」

「ソニア、お前には聞いていない」

ソニア、バッサリ切られた!

「この王国の者ではないな。どこから来た?」

「あのえっと…」

「王国の住民名簿にも君の名前は記載されていない。元々の服も見た事が無い布と模様だし、遠い東国でこれと似たような名前を付けるらしいが遠くから旅をしたにしてはあまりにも軽装だ」

 完全なる理論武装! これは…本当の事を言った方が良いか!?

「あの…実はワタシ別の世界から召還されたみたいなんです!」

 言っちゃった! ワタシはそうっと回りを見ると、みんなあきれたような表情をしてこっちを見ている~!

「…召還…ですと?」

「…まさか」

「もし本当だとするならば…」

 なんだか偉い役人さん達がヒソヒソ話で相談しているんだけど!

 「えー、ツカサ、と言ったか。本当に召還されて来たんだな」

「そうだと思う…ます。服もこっちとは違うみたいだし」

敬語がいまいち分からないんで変な言葉使いになっちゃった。

 騎士団長さんはしばらく黙った後、

「だとすると…原因はやはりあの人でしょうか大臣」

髭を生やした偉そうなおじいさんに聞いた。

「ふむ…今までも変な物をついうっかり召還で喚んでいたからのう」

…ついうっかり!?

「以前にはくしゃみをした拍子に変な形の麺を湯切りするザルをんだり、へんてこりんな乗り物らしき物をんだりしてますからねえ」

…ひょっとして、召還した人ってうっかりさんなの!?

 ワタシはガッカリした。

「そんな…聖女でも救世主でもなくただ単にうっかり召還でこっちに来ちゃったなんて」

落ち込んでいるワタシにソニアが気を遣ってくれる。

「落ち込まないでツカサ。こっちの世界に召還されたって事は戻る方法もあるかもしれないからさ」

「うん…」

 そんな様子を見ていた騎士団長さん。

「まあそんなに落ち込むな。まだ方法はある」

「アタシのセリフそのまま言わないでよレジェ」

「昔馴染みだからといって愛称で呼ぶなソニア元騎士」

 それを聞いたワタシは驚いて目を丸くした。

「ソニアって騎士だったの!?」

「昔ね…」

「ツカサとやら、コイツはこの見た目で騎士をやっていたので目立って仕方がなかったんだ」

「何言ってんの。アタシとまともに目を合わせてしゃべれなかったのに。あ、今もみたいだねえ」

「う、うるさい!」

そう言いながら顔を横に向ける騎士団長さん。

これは…ソニアに惚れているのかな?

だからまともに顔を合わせられないのか。なるほど。

 「ともかく、こいつには気を付けろ。ソニアは女性が好みなのだ」

女性が好み…ってことは、

「ん? ワタシも恋愛対象!?」

「うん」

 って、ちょっと待って! ここまでの事を振り返ると…、

「ワタシ、ひょっとしてヤバかった!?」

「アタシはこんな可愛い娘と旅が出来て楽しかったよ」

気のせいかもしれないけど、なんかワタシを見るソニアの目が怖いんですけど…。

「まあ、とにかくその召還した本人に会うために俺も同行しよう」

助かった…そのままソニアと二人旅だったらワタシのていそうのききだったよ!

 そうして召還者の所に騎士団長さんも加わって三人旅が始まるのだった!

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