第6話 王都到着! 捕まった?!

 高く広い城壁に囲まれた都市。渋谷のビルよりは低いんだけど、でも近くで見ると迫力あるわ、これ!

「ふわあ…たっかーい!」

「見上げていると首が疲れちゃうよ。ほら、城門はこっちだから迷子にならないように付いてきて」

 ワタシは人間形態に変身したソニアと一緒に城門をくぐる。

門番さんがソニアに敬礼していたんだけど、知り合いみたいだった。

「ソニアって、お城に誰か知り合いがいるの?」

「何でだい?」

「なんだかさっきの門番さんが敬礼していたからそうなのかなあ、って思って」

ハハハと笑いながらソニアは、

「まあ、昔から王都は行き来していたから知り合いの一人や二人はいるだろうねえ」

 そういえばあまり会いたくない人もいるって、前に言っていたような…。

 「ねえソニア、おじいちゃんからの手紙って誰に渡さなきゃないの?」

ワタシに聞かれて『うっ…』と、おしゃべりを止めるソニア。

 これは…渡す相手があまり会いたくない相手なのか。

「ソニアが会いたくない相手に会わなきゃないのか。困ったなあ」

と、ワタシが呟く。

まあワタシは誰かは分からないんだけど。

「だ、大丈夫大丈夫! ちゃんと用事は済ませるから!」

 ソニア、無理しているのがバレバレだよ…。


 ぐううう~

歩いているとワタシのお腹の音が鳴った。

「ああ、もうすぐお昼か」

「ワタシのお腹の音は時報じゃないよ~! 恥ずかしい…」

慌てるワタシ。ホントに恥ずかし~!

 「じゃあ、そこの食堂で何か食べようか」

「やったー!」


 お昼時だからか、お店の中は混んでいた。

なんとか座る場所を見つけたんだけど、

「おいっ! ここは俺達の予約席だから別の所へ座りな」

男の人達がやって来てワタシ達に移動するように言ってきた。

「なによ、そんなのどこにも書いてないじゃない!」

お腹ペコペコだったからワタシも一歩も引かなかった。

 「うるせい! いつも俺達が座っているから俺達の予約席なんだよ!」

「そうだそうだ!」

「早くよけやがれ!」

 なんだか段々ムカついてきた。

「ほら、早くよけろよ!」

男の一人がワタシの腕をつかんでよけさせようとする。

「痛っ!」

 「ちょいと、アタシの連れに何してるんだい?」

お店の人に注文を言ってきたソニアが近寄ってきた!

「おう、なんだ姉さん。こいつの連れか?」

「ああそうだよ。痛い目に遭いたくなけりゃ、早くその薄汚れた手を離しな」

 「なんだとコラ」

「生意気な!」

「…でも美人」

「そんなのどうでもいいんだよ! ここで引いたら俺達のメンツが潰れちまうだろうが!」

仲間にゲキを入れて相手も一歩も引かなかった。

 まさにいっしょくそくはつ(漢字が分からない)という事態!

 その時外から、

「おいっ! ここでもめ事が起きているとの情報が来たんだが、何があった?」

「王国騎士団だ!」

「騎士団長様も一緒よ!」

「これで安心だ!」

 えっ? 騎士団!? ファンタジーゲームでよく出るあの!?

 「お前らが騒ぎの元か? 全員連れていけ!」

「はっ!」

鎧を着た強そうな人達がワタシの腕をつかんだ人達を連れていく。

「お前らもだ。ついてこい!」

 えっ!? ワタシ達も行かなきゃならないの!?

「いやだってワタシ達巻き込まれたんだよ!? 被害者だよ!?」

「事情はあっちで聞く。来いっ!」

そんな…まだ何も食べていないのに!

って、問題そこじゃないよワタシ!

 「待って」

ソニアが騎士団長という人を止めた。

「…ソニア、か?」

「久しぶりだね、ウィーザー。騎士団長就任したのかい? おめでとう」

 なんと! ソニアと団長は知り合いだった!

ん? じゃあソニアが会いたくない相手って…。

 「挨拶は後だ。とにかくお前もついてこい!」

「ハイハイ。相変わらずだねえ」

素直についていくソニア。ワタシもそれに従った。

 てかどこに連れていかれるの!?

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