名画の前で佇んでいるような

そんな自分を想起しました。

掌編小説であるがゆえに何度も読み返すことができ、そして何度も自問自答をしてしまう。それがある意味、この作品を面白くさせている要素だと感じました。

「この作品の伝えたいこと」「登場する人物の関係」「それに至ってしまった訳」など、読む度に解釈が変容してしまい、出てきた答えは枚挙に暇がありませんでした。しまいには、この小説のタグに何か意味があるのではと縋るくらいに。続きを読みたい気持ちもありますが、リドルストーリーの要素があってこその面白さもあります。もしも、これこそが作者様のねらいだったら……末恐ろしい。

最後にひとつだけ。
私が一番考えを巡らしたのは、登場人物の名前でした。

両者とも“男女どちらでもつけられる名前”で、作中では「○君」「彼女を~」と表現しているものの、「男女ふたりの物語」と決めず、読者の自由でその枷も外せる可能性があるかもしれないと。そこもこの作品に惹かれる点かなと思いました(作者様の意向に反するものかもしれませんがご容赦をば)。

この物語に会えたのも僥倖ですね。
本当にありがとうございました。

このレビューを投稿したら再読します。
また別の物語になっているかもしれませんので、わくわく。