第34話 最後に
今まで癌の告知を受けてからの入院前・入院後の状況、そして退院してから20日間の様子を
最初にも書いたとおり、今まで健康の問題を起こしたことはなく、ずっと入院などとは縁がなかった。しかし60歳を過ぎ、癌という大きな病気をしたばかりでなく、慢性的な足の痺れや無呼吸症候群(これは手術後治療を開始し、今では大分改善している)やら様々な病気を経験して、朝・昼と様々な薬を飲む生活を送っている。人生というものはそういうものなのだろう。それを辛いと思えば辛いと言えば良いし、我慢できるなら何も言わずに我慢しても良い。いずれにしろそうした選択に致命的な誤りも、大正解もないのだろう。
手術を終えて半年後、体にまだ痛みは残っており、取り分け右背後の痛みは眠っている姿勢から起き上がるときにかなり痛む。食欲と消化能力は依然として釣り合わず食後は消化不良の苦しみを味わうことが多々ある。以前より体をいたわるようにしているが、その効果は目に見えるほどではない。
煙草は多いときは60本近く、最近でも15-20本ほど吸っていたけど診断を受けてから全くやめた。煙草をやめると喫煙者に対して攻撃的になる人はいるものだが、そんな気にはならないし、喫煙者を排除するレストランやカフェには今でも行かない。
酒も基本的にはやめ、薬用酒をお猪口で一杯だけ飲んでおり、これは滋養を取るためであるが、効いているのかどうか、これも分からない。薬というのは得てしてそう言うもので、効いているかは分からないが服用をやめるとさらに悪化するような気がしてやめにくい。どうも不便である。
だが好きな音楽を聴き、書き物をしながら過ごす生活はそれほど悪くない。好きな人の顔を見たり話をすれば楽しいものだ。人生に後悔がないかと言えば嘘になるが、歩んできた道を否定するつもりはないし、それなりの人生だとも言える。
死に直面してもさほど動揺することもなさそうだが、死に直面などしない方がいいにきまっているという理性も残っている。
次の検査は来年、春。そのときになってどうなっているのか、再びペンを取る(というかパソコンに向き合って)心境を綴る事もあるかも知れない。そのときは再び読んでください。よろしくお願いしてペンを措くこととしたい。
闘病記・・・というほどのものではないけれど 西尾 諒 @RNishio
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