第二章 奇妙な共同生活 <第六話>
「アタシの今のお家は…栄町公園よ…」
「おいおい!何ふざけてんだよ!いい加減なこと言うなよ!ちゃんと答えろよ!」
「ホントよ!ホントなんだから!」
「公園ってどういう訳なんだよ?」
「だから、ひと月程前からこの町に来て、公園のベンチで野宿してんの」
「えー!嘘だろ?まさかホームレスじゃあるまいしさ!野宿って…」
「いやいや、たまたまよ。普段は、その山とか川とかでテント張って、キャンプしたりして、歩きながら旅してるんだけど、ちょっとそのお金もあんまり無くなっちゃったりしてきて、この町に立ち寄っただけなのよ」
「へぇ、歩きながら旅してるって何だよ?」
「北は北海道から南は沖縄まで、日本一周徒歩の旅!」
「マジかよ?!今どき車も電車もバスにも乗らずにかよ?」
「そうよ。」
「一体、何の目的でそんなことしてんだよ?」
「何の目的って、それはいいじゃない!それは、内緒の秘密!どうして、アナタに教えなきゃいけないのよ!」
今度は、シュウが少し慌てた様子で、その場を取り繕うように、少しボクの質問を遮った形で、強い口調で切り出してきた。
「ねぇ?それより今、アタシ、いい事思いついちゃった!グッドアイディア!」
「何だよ?グッドアイディアって?」
「アナタ、さっき一人暮らしで、オマケに独身の彼女無しって言ってたわよね?」
「ああ…」
「この際さ、アタシ達、思い切って一緒に暮らしてみない?」
「おいおい、何言い出すんだよ!何がグッドアイディアだよ!ボクもキミも、さっき会ったばっかりだぞ!どこの誰だかもわからないのに…」
「あれぇ?髄分お堅いのね!さっき、お互いの自己紹介したじゃない!」
「自己紹介?」
「じゃあ、アナタ、さっきのあの<百万円>、一人で全額払うつもりなんだ?」
「何ふざけた事言ってんだよ!冗談じゃないよ!さては、キミもあの店の一味だろ?訳わかんないことばっかり言って、あのインチキブルドッグオヤジとグルだろ?」
「違うわよ!」
「いつも、ボクが店に来ては見てばかりで、何も買わないからってさ。ボクは騙されないぞ!」
ANCIENT FISH monco @mon-co
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