第4話 魔王城修復完了(外見のみ)

「さて、どうするか」


「魔法は?」


「無理、魔法抵抗力が強すぎて修復リペアが使えない」


パメラの提案に即マリウスが却下をいれる。


「オデ ノ チカラデモ ガレキ モチアガラナイ」


ゴリキは頑張って落ちている大きな瓦礫を持ち上げようとしているが、一向に持ち上がる気配が無い。


「詰んでるじゃない」


『申し訳ありません』


「なに、マリアが謝る事じゃないさ。それだけ優秀って事だ」


申し訳なさそうな顔をしているマリアをマリウスが励ます。


「あっ、マリアの力で直せないのかしら?」


パメラがそう聞くと。


『すいません、私は形を変えることしか出来ないのでくっつける事は出来ないのです』


「そうなのね」


そしてガレンはというと─


「ここはこうすれば、後ここをコレにして」


「ん?ガレンは何してるんだ?」


「…魔法抵抗力を落とす魔法陣を作ってる」


「な?!お前もしかして頭脳と力を持ち合わせた最強キャラか!?」


「うるさい、あっち行け邪魔だ」


マリウスはガレンに厄介払いされた。


「発動するから全員離れてろ」


ガレンは全員を離れさせ、呪文を唱える。

すると─


パンッ


魔王城を包んでいた光る膜が弾ける。


「これで魔法が効くはずだ」


「まじ?」


マリウスが魔王城の亀裂に修復リぺアをかける。


「おぉ!使えたぞ!」


亀裂が綺麗に塞がった。


「よし、成功だ。だが効果は3時間。1日に1回しか使えないから気をつけろ」


「でも大きい瓦礫はどうするのよ」


そう、修復リペアは元の場所と約1cm近くないと発動しない。

だから割れて落ちてきた大きな瓦礫はこのままでは修復出来ないのだ。


「それじゃあ助っ人を呼ぶか」


「助っ人?」


「あぁ、とっても強力な助っ人だ」


マリウスは腕を前に突き出し、空気中に魔力を流す。


「来い!リアナ!」



マリウスがそう叫ぶと、目の前に大きな魔王陣が生成される。

そしてその魔法陣から、なんと


「ド、ドラゴン!?」


「いいや、龍さ」


魔法陣から見惚れるほど白く美しい龍が出てきた。

その龍は、マリウスを見ると徐々に形が変わり、白いワンピースに身を包み、、白いの髪を腰当たりまで伸ばした少女がマリウスに突撃した。


「主さまぁぁぁぁぁ!」


マリウスは少女を軽く受け止め、抱っこする。


「久しぶりだなリアナ」


「主さま、なんで呼んでくれなかったんですか!ずっと待ってたのに!」


「ごめんて、ほら俺お手製焼きおにぎりやるから」


マリウスがマジックバックから焼きおにぎりを取り出す。


「ふん!ほんなんでゆふすほろ、ひあなはあわくなひんへふよ」

(訳)ふん!そんなんじゃ許すほど、リアナは甘く無いんですよ!


「わかったわかった。じゃあまた今度一緒に添い寝してやるから」


「絶対だよ!」


「勿論、で本題に入るんだけど」


「なぁに?」


「あの瓦礫をあそこに近ずけられるか?」


マリウスは魔王城の壁に空いた大きな穴を指さす。


「リアナにかかれば瞬殺ですね!」


「よし!頼んだ!」


リアナは、マリウスから名残惜しそうに降りると、再び白龍の姿になり、ゴリキでも持ち上がらなかった瓦礫を軽々持ち上げる。


「ここでいーい?」


リアナが瓦礫を穴に合わせてそう言う。


「おーう、バッチリだ!そのまま少しキープしてくれー!」


「はーい」


マリウスはリアナが穴に合わせている間に、修復リペアを使う。


すると見る見るうちに、瓦礫は穴と繋がり、穴が塞がる。


「な、強力な助っ人だろ?」


マリウスはそう言いながら皆の方を向く。


「ええ、マリウスが桁違いなのはわかったわ」


「人間のくせに白龍を従えるだと…ふざけている」


「アノコ オデヨリ ツヨイ!」


『マリウス様は召喚魔法まで使えたのですね』


皆は、呆れ、驚愕、興奮、と様々な反応をしていた。


「俺だいたいの魔法は使えるからな。あ、でもエルフの使う精霊術は完全には習得出来なかったな。小さな精霊しか呼べなかった」


マリウスは悔しそうな顔をしてそう言う。


『…あれはエルフ専用に作られた魔法なので人族のマリウス様が小さくとも呼べるのは異常です』


「主さま、この人達は誰?」


リアナがマリウスの袖を掴んでそう言う。


「あぁ、この人達はマリアとパメラとガレンとゴリキ。つい最近出来たばっかりの俺の仲間だ」


「…ガレンお兄ちゃん顔が怖ーい」


リアナがガレンを指さしてそう言う。

するとガレンはあからさまに落ち込む。


「ガレン、ドンマイ。気にする事は無いわよ。確かに私も怖いとは思うけれど」


「ガレン コワイ イワレテル」


「うるせぇ!顔は生まれつきだ!早く作業しろ!」


ガレンは剣を振り回しマリウス達を追い払う。


「よし、作業開始だ!」


「「『「「おー!」」』」」


そこからはトントン拍子に修復が進んだ。


◇そして時は進み3時間経過ちょっと前。


「最後にこれを直せば」


マリウスが最後の瓦礫をくっ付ける。


「ギリギリ終わったぞー!」


「何とか間に合ったわね!」


「おわったー!」


「当然だ」


「オデ オナカスイタ」


ボロボロだった魔王城は、まるで新品同様。傷ひとつ無いピッカピカの状態となった。


外見だけだが。


「内装はとりあえず物は全部処分して、俺が新しい家具とか買ってくるわ」


『私も付いて行きます』


「リアナも行くー!」


「頼んだわ」


「…」


「メシ」


そしてマリウスは、マジックバックから調理器具と昨日とは違う肉を取り出す。


「よし!飯にするか!」


「やったわ!」


「…グウ」


「メシィィィ」


「ごっはん!ごっはん!」


『マリウス様、そのお肉昨日とは違うようですけれど』


マリアがマリウスの持っている肉を指さす。


「あぁ、これはフェニックスのもも肉だ。唐揚げにすると美味いんだよなぁ」


「は?」


「え?」


「オオ」


「唐揚げ大好き!」


『…さすがにもう驚きませんよ』


「あっはっは。それじゃあ衣を付けて油に投入!」


マリウスが油に衣をつけたフェニックスのもも肉を入れると、油の色がどんどん火山のマグマの様な色になる。


「え、この色は大丈夫なのかしら」


「大丈夫大丈夫。フェニックスの魔素でこうなってるだけだから」


『料理中のありえない現象にも慣れました』


そして10分もしない内にカラッと揚がる。


「よーし、たんと食え!」


マリウスがそう言った途端、全員が高速で橋を動かす。


「コレ ウマイ!コレ ウマイ!」


「こんなに美味しいものは食べた事がないわ。ねぇガレン」


「あぁ、揚げ具合いも丁度いい。料理の腕だけは認めてやる」


『…昨日のもそうですけど、肉汁が甘いですね』


最後にマリウスも大きい唐揚げを掴み、口に放り込む。

すると、サクサクと気持ちの良い音が聞こえる。


「んん!さすが俺、完璧!」


「主さまの料理美味しい!他の皆に自慢しちゃお!」


「他の皆?」


パメラがその言葉に反応する。


「リアナの他にあと2人居るからな。また今度皆にも会わしてやるよ」


『それは心の準備をしておかなければですね』


「オデ タノシミ」


マリウス達はそんな談笑をしながら夜を過ごした。

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やりたい事も無くただ彷徨っていたら、魔王が勇者に討たれ放置されていた魔王城があったので、住み着こうと思います 猫のストーカー @konohageeeee

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