国王(30)に転生しました。仕事量が半端じゃねえ!

こあた

転生

 もう、俺はダメなのか?

 

 頭から真っ赤な血が流れていて痛みの感じない……

  

 周りの人たちが騒いでるのが聞こえる…

 

 はは、死ぬのって意外とあっけないんだな…

 

 新作のゲームを買う帰り道、居眠り運転しているトラックに惹かれて…


 はぁー、マジでテンプレだな。漫画かよってくらいの…


 やばい意識が遠のいていく…

 

 くそっ、こんな偶然が重なったんだ。


 せめて転生でもさせてくれないと割に合わねーぞ…


 ーーーーーーーーーーー

 「…か」

 うっ、なんだ…眩しい

 まぶたの間から光が入ってくる… やめてくれよ眠いんだよ


 「…いか」


 ざわざわ 今度はなんだうるさいなあ…

 だからねさせろって!


 「陛下!」

 「…へ?」


な、なんだこれ。目を覚ますとそこには壮大な光景が広がっていた。

 豪華な装飾がついた壁。その壁の前に立っている全身鎧の騎士。さらに天井にはめちゃくちゃでかいシャンデリアが吊るされていた。

 い、一体何がどうなって…

 俺が動揺していると先程意識がもうろうとしている中陛下と言っていた人が話しかけてきた。

 「陛下!ご無事ですか!突然意識を意識を失われたのでどうされたのかと…」

 

 銀色を基調としたドレスに身を包み、そのドレスに負けないくらい美しい銀髪を腰の位置まで伸ばしている。そして頭にはダイヤモンドが埋め込まれているであろうティアラをつけていた。ピンクサファイヤを思わせるその瞳は真っ直ぐ俺のことを見つめていた。


 その人を見て俺の心の中に現れた感情はただ一つ。


      か、かわいい‼︎


 って、ちょっとまてーい!今の説明文にめっちゃ重要なこと書いてなかったか⁉︎

 俺のことを見つめる+陛下と呼んでいた

          I I

      俺がその陛下じゃん⁉︎

 さっきから情報量が多すぎて、頭がパンクしそうだ。

確か俺はトラックに轢かれたはず。なのに何で生きてるんだ?

 陛下って?いちおう周りを見渡してみるとどうやら何かの重鎮っぽい人たちが困惑の表情を浮かべてこちらを伺っている。

 それにおそらくこの体は俺のじゃない。今まで十六年間付き合ってきたんだ。自分の体の違和感ぐらいわかる。ならなぜそう感じる?


 疑問は尽きない。とりあえず目の前を問題を解決しよう。

 

 「あ、あのー陛下って何…?」

 「?何をおっしゃっているのですか。貴方様はこの"フラーズ"王国の王でございます。」


 わぁお!俺がしてるゲームのタイトルじゃん!

 

 ドサッ!

 

 本日二度目の気絶だった。



ーーーーーーーーーーー

 

 「ああー、全部思い出した」

 

 どうやらあの後俺は寝室に運ばれたらしい。結構眠っていたようで気絶する前は火が出ていたのに、窓を見ると今ではすっかり暗くなっている。


 さて、落ち着いたところで状況を整理しよう。


・俺は転生した。(ゲームの世界に)

・この国の名前はフラーズ王国

・今の俺の身分・名前はフラーズ王国第10代目国王アルテノーゼ・フラーズ(子持ち)

                ↑

              ここ重要

 大雑把にまとめるとこうだった。

 さてなぜこんなことを知っているかというと今目覚めた時この体の元持ち主の"国王になってからの"記憶と前世の知識が俺の頭に入ってきたからだ。

 うぅ!一気に情報入ってきたからすごい頭痛がする。

 そしてそれらの情報を整理するとアルテノーゼは随分と冷酷無比な人物だった。人の意見を聞かず、戦争で勝ったら、相手の兵を全て皆殺し。自分の子どもや妻ともあまり関わりを持たず、ひどい時には一ヵ月も話さなかったこともあるそうだ。

 

 なんとあの天使のような可愛さを持つ人に対して無視をするなんてことがあり得るのだろうか?いやない!思わず反語を使ってしまうほどに意味がわからなかった。

 ていうか今まで無視し続けてたのにさっきあんなに心配してくれていたの⁉︎

 

 さてそろそろ現実を受け入れなければいけないな。俺はトラックに轢かれて、国王に転生した。

 はあ、こんな展開なら最後の最後までテンプレでいてくれよ。いきなり国王とかハードルがきついってー。


 まぁ、とりあえずはこの国の王妃であり俺の妻の、フィリナ・フラーズに謝るとするか。

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国王(30)に転生しました。仕事量が半端じゃねえ! こあた @shouryupin

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