第0章  第1話

 「坊主、よく頑張ったじゃねえか。けどよ、それじゃあ飛竜ワイバーンは倒せないぜ!寝てな!」


 と言って目の前の飛竜をよぎるようにして、アルの前に筋肉質で長身の白く長い髪をした男が現れ、現れたと同時に姿を消し次の瞬間「ザン!!」と音がした。


音のした方を見るとあの巨体で、迫ってきた飛竜が真っ二つになりその向こうにある木も粉々になっていた。

 

それを見て安心したのか、泥のようにそのまま寝てしまった。




「確かに寝てろって言ったが、マジで寝るやつがあるかよ…」 




 「うーん」


アルが目を覚ますと、


 「お、起きたか、村まで送ってやる。」


なんだかすごくみたことのあるような、ないようなちょっと髭の生えたおっさんがしゃがんでこっちを見ていた。


 「おじさんだあれ?」

 

 「おっ、おじさん!!⁈オレはファイ=ミル=シュトレン。シュトレン子爵家の次男で、Aランク冒険者。 あとオレは二十歳だ!」


そう言って何か書いてあるキラキラした板を渡してきた。

 

 「なにこれ?」

 

 「冒険者カードだ。ちゃんと書いてあるだろ?って」

 

 「読めないよおじさん」


 「…まあいい。お前はなんて言うんだ。」


 「ボクは、アル、アルヴィ=ウルク おじさんの4分の1の5歳」


苗字があると言うことは所属している村の村長が親戚に居るとと言うことで、お音やその他の大きな町に住んでいる平民は名字がない、そして貴族には中間名があって町の名前のようになる。


つまり、アルはウルク村の村長の親戚ということになる。


 「おお、ウルク村の者か、ここからだいぶあるなーこれからどうする。俺ん家にくるか、それか町に送っていくかど・・・」


ファイが今後について聞こうとすると、アルが突然その言葉を遮った。

 

「そういえば、ここに来る途中ボクと同じくらいの男の子見なかった?ボクの親友で弟分なんだ。町に助けを求めに行ってって言ったから町にいたら会っているはずだと思う。」

 

「いや見てないな。でどうする。」

 

「面白そうだから、おじさんについて行くよ。でもオルトにはどう伝えよう。」


ファイはおじさんと言うのを止めさせるのを諦めた。

 

「俺が後で町に伝えといてやるよ。これでもそこそこ有名だしな」


そういうとアルを小脇に抱え跳ぶようにして、歩いた。


アルは安心し、小気味良く揺れるファイの腕の中で睡った。

 

「…よく寝るな…」









 









「着いたぞ 起きろ!」


ファイの拠点に着いた頃にはもう夕方になっていた。


暗くて何も見えない。でも前方にぼんやり何かが寝ていた。時々鱗と鱗があたるような音も聞こえてくる。


なんとそこには4.5匹のドラゴンが横になって眠っていた。


普段はもっといるらしいが、今は出払っている。龍は基本的に群れず呑気に暮らしている。


故にここまで集まっているのは世界中を探しても1つしかないことは、誰でも知っていることだ。

 


つまりここは、龍の巣なのだ。だが、なぜ竜の巣に連れてこられたのだろう。


まさかこの前村にきた吟遊詩人歌ってる兄ちゃんが言ってたように小さい子を狙って食べる奇妙なドラゴンへの貢ぎ物として連れて来られたんじゃないの?と不安になっているとファイが

「そんなちっさい子だけを食うドラゴンは龍の巣からは追放されているだろうよ」

と、僕の心を読んだかのように話しかけてきた。


でも、もう一つの疑問も生まれた。


なんで龍の巣にいるのかってことだ。お兄さんは確かナントカ子爵っていう貴族様だったはずだ。


それなのにここは貴族様の家でもなければ街ですらない。


しかも龍しか知らないと言われていて、非常に希少価値の高い龍の巣に連れて来られている。


「お兄さんはもしかしてだけど、龍なの?」


「そうだ。しかもそのドラゴンで最も尊敬されている神龍様なんだぜ!俺を崇めよ龍達よ」


と言っているがドラゴンたちは寝ているだけでピクリとも動かない。


ただお兄さんが満艶の笑みを顔に浮かべ、両手を上に突き出している。そしてどこから来たか分からない鳥がブッブッと鳴いているだけだった。


「…」


「…」


「…」


「…この巣に居るドラゴン達は俺より歳上で年下には頭を下げないんだぜ!」と自分を慰めるかのようにそう呟いた。


ファイは自分がなぜ龍の巣にいてそこで暮らしているのか、子爵家になぜいないのかについても語った。


 「実は、俺は小さい頃から大食いで食べ物をよく噛まずにほぼ丸呑みにして食していた。ある日、ふと首に違和感を感じたんだ。気になって触ってみたらうろこがあったんだ。最近流行りのトカゲ病とかいう奴なんだろうって思っていた。トカゲ病は5歳までに治る病で俺の住んでいた地域では一般的だった。でも、俺がその症状が出たのは6歳の時で、7歳になると火が吹けるようになった。6歳のとき、鱗ができたことに驚いた俺は怖くなって部屋に篭りっきりになった。小さな物音でも怖がるようになった。そうしたら、両親が俺のために小屋を作ってくれた。でも両親や兄弟はよく思っていても使用人などは君が悪かっただろうし、家族も内心は君悪がっていただろうしな。まあそんなこんなで周りに敬遠されがちなったし、もちろん子爵家は継げないだろうから。冒険者になるのもありだとかんがえて、いろいろしてたらAランクになっていたんだよ。そんでドラゴンの討伐に行った時にドラゴンの話している事がわかってドラゴンと話して街から離れてもらったことから、その功績でA+ランクになったって訳。でもギルドカードに記載されていないのは+なんていう表記が無いからだ。そんでその話がこの拠点に来てから、大体五〜六百年くらい前のことだな。ちなみにもうレガリス王国にはシュトレン子爵家はない。つまり俺はただのファイだ。一応ランクはもらっているけどA+の時と同じで名誉的にもらっているだけで身分証明証みたいなもんだ。お前もでかくなったら街にもらいに行こうな!それで一緒に冒険しようぜ!だがその前に、冒険者になるためには強くならなければならない。強いと言っても色々あるが、生き残る力がものを言うのが冒険者だ。だから冒険者登録のできる13歳までみっちり修行だ!

 

さて、何からやる?」


 「俺は剣と魔法を教えて欲しい それで 一番上のSSS冒険者になって 飛竜の群れを倒すんだ」


 「いいぜ!でも剣は振っているだけでは強くはならないだから、学ぶことも 重要 なんだぜ 魔法適正は、何か分かっているか? そういえば飛竜の時に 闇魔法を使おうとしていたな。闇魔法の他には何かわかるやつあるか?」


「うん 闇以外にあるのは分かるんだけど何があるか分かんない」


「多分 闇と土と もう一つ特殊魔法かな 一応俺は全属性使える上で空間と時魔法も使える土の魔力 と闇の魔力が感じられるからそっちを重点的に、やっていこう でも魔法を使う前に魔力量を増やした方が良い。もし戦闘に魔力がなくなっちゃったら、気絶するからなそうすると死んでしまう可能性のほうが高くなる。いくら剣で強くてもな...」

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アルオルミル ヴェニスQ.!O @brvtf

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