第6話 王様、娯楽を知る
「ぐぁ〜っはっは!!」
俺は上機嫌にTVというやつを見つめている。唯に教えてもらったがこれは写真ではなく映像というらしい。実際に動いている人物や動物を記録できる優れものだ。
これがまたおもしろく、俺は唯の家にやってきた次の日からはもっぱらこれにはまっていた。漫才というやつに。
「なんでやねん!」テレビから声が聞こえる。俺はそれをみながらまた笑う。
「あ〜はっは。あはは!」
…寝転びながら。その手にはポテトチップスなるものが握られていた。
ブツン——。音を立ててTVが消えた。後ろを見る。唯の手にリモコンが握られていた。
「おい!何するんだよ!!いいところだったのに。」
典型的な台詞を口にしてみる。
「あんた、ここに来てからTVばっか見てるじゃない。だらけきって反吐がでるわ。」
俺はこんな言葉一つでは動じなくなっていた。それがどうした。俺は娯楽を見つけたんだ。楽しければそれでよし、何もしたくないな。
とは言えず。
「明日からがんばるよ。この世界についても勉強するよ。明日から。早くつけてくれ、終わっちまう。」
ヒューー。冷たい風が吹いた気がする。空気が冷たいのか。
唯がえらい形相でこちらをみていた。本当にこの世界でも鬼が存在するならコイツの事を言うのだろうと思うほどに。
「ひっ!」
情けない声を出してしまう。
「明日やるっていうやつに限って一生やらないのよ!いい?とりあえず働きなさい!職を見つけられなかったら当分ご飯なしだから!」
(鬼…。)
ポイッと外に放り出された。あの華奢な体のどこにこんな力が隠れているのだろうか?疑問だ。
さてと、職探しするか。となる俺ではないのだ。唯から教わったこの世界での"普通"とやらを心がけて適度にシャバの空気を楽しもうではないか。
最強王様は非日常の世界(現代)に転移したようです 佐辺なる @nasebanaru
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