第2話 Nitori's memory and wish~にとりの記憶と想い~

1944年8月23日、群馬県桐生市にある茶臼山に一太とにとりは来ていた

一太「にとり、君からハイキングに誘ってくれるなんて嬉しいよ

しかし、この山は…」

にとり「よく覚えてくれてたわね

貴方のお父さんが、群馬県物の怪撲滅運動の最期にこの山で物の怪狩りをやった時、命辛々逃げてた私を幼かった貴方が私を助けてくれたの

あの時の、貴方は、本当に優しかった

でも、年を取って政治家になってから貴方は変わってしまった…」

一太「そう…

君を助けたときは、私は、可哀そうだと思ったから助けたんだ

でも、政治には、そのような同情とか慈悲というのはいらないというのが分かったんだ」

にとり「でも、その割には、私の事はずっと守ってくれてるじゃない?」

一太「…」

にとり「だから、私は、貴方が前の優しい貴方に戻ってほしいの

ね?」

一太「でも、弱い奴は強くないとやられるばっかりだ

だから、我々が、日本を統一しなくちゃいけない」

にとり「でも、県民は、争いなんか望んじゃないわ?

貴方だって、本当は分かってるでしょ?

もう、県議会が、貴方の提案を受け入れないことが増えてるって…」

一太「…」

にとり「大丈夫

今なら貴方は戻れるわ

私が傍にいるから、一緒に帰りましょ」

一太「そうだな

私も60に今年なる

ここら辺が潮時か…」

二人は、ゆっくりと茶臼山を下山していった

その姿は、仲の良い老夫婦のようにお互いに寄り添っていたという


そして、この日の夜、県庁で山本は、群馬県議会に全ての権限を付与し、知事は、議会で決められたことを確認し承認するだけの権限とした


そこから、群馬県議会は、今まで戦争で獲得した領土の全てを各県に返還し、各県で構成された連邦政府となった

そして、にとりと一太は、一太が90を超えたある日、二人の寝室で手を繋いで眠るように寄り添いながら亡くなっていたところを発見された

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山本式平和追求の為の闘争 西野園綾音 @nishinosonoayane

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