第6話 けーさつのおにーさんは細マッチョ

その後、警察の調べで、過積載は会社が秘密裏にして、盗品や違法薬物を社員たちに運ばせていたことが判明した。

有希子の父親は過積載を知らずにカーブを曲がりきれなくて死んだのだという見解があり、自賠責からは保険金が支払われた。


「よかったね、お母さん。中川さんのおかげだね!」

「なんだ、お前は。そんなに中川さんが好きなのかい?」

「えっ!」

「まぁ、警察は嫌いだけど、あぁいう真面目な子はいいよね。イケメンだし、細マッチョだし。茶髪はどうかともうけど」


有希子の母親はう~んと唸る。


「え! 中川さんて細マッチョなの?」

「あぁ、有希子が気を失っている時に、最初に私をお姫様抱っこしてくれてね。私が、私よりも娘をって言ったら、有希子を背負ってくれたんだよ。けど、お姫様抱っこされた時は、不覚にもキュンとしてしまったよ。まぁ、お父さんの方がかっこいいけどね」

「え、お母さん、ずるーい! 私もお姫様抱っこしてほしかったのに」

「あはは。けどね、お父さんももっともっと筋肉がすごかったんだよ。それこそ千代の富士みたいだったんだから」

「え? それ誰―?」


有希子と母親は楽しそうに笑い出す。だが有希子の心の中では、ある目標が生まれていた。

この先も中川巡査と一緒にいるために、自分も警察官を目指すということ。

有希子はこの日から警察官になるための道を歩みだしたのだった。

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「5分で読書」あの角を曲がれば、けーさつのおにーさんが。 @tokyonishiakitani

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