2
2
何をするにしても情報が少なすぎる。少し冷静に状況を分析してみよう。即応が求められている場合なら話は別だけど、今は焦る必要がないんだから。
念のため、僕はすぐに動きが取れるように身構えつつ、魔方陣へ視線を向け続ける。
「ゴァアアアアアアァ……」
どこからか響いてくる熊の咆哮にも似た音。それとともに魔方陣の中心付近――何もない空間の狭間から鎧の騎士が現れる。
体は黄銅のような色と質感の金属で出来ていて、見た目は全身鎧そのもの。それが意思を持って勝手に動いているような感じ。顔の部分は黒い霧のようなものに満ちていて、目の部分だけが不気味に赤く光っている。
書物で読んだことがあるけど、これは『リビングメイル』という実体のないモンスターの一種じゃなかろうか。魔法力によって命を吹き込まれた『この世にあらざる生命体』。一説には魂や悪霊などが憑依しているアンデッドだという話もある。
しかも驚くべきはその体長。『鎧』というから屈強な戦士くらいのサイズかと思っていたんだけど、この召喚獣は岩のモンスターよりもさらに一回り大きい。僕は思わず怯んで、足がガクガクと震えてしまった。
「鎧の騎士を呼び出したのは、いつ以来かなぁ。では、見習い勇者くんのお手並みを拝見させてもらうよ~☆」
タックさんは大広間の隅の床に座り込み、ニタニタと悪戯っぽい笑みを浮かべながらこちらを眺めている。実に楽しそうだ。
一方、ミューリエはタックさんがいる場所とは反対側の隅に立ち、真剣な表情で僕の様子を見守ってくれている。何か言いたげな雰囲気があるような気もするけど……。
「アレス! アドバイスだ! 敵を見誤るなよ!」
不意にミューリエは僕に向かって大声で叫んだ。ただ、僕はその言葉の意味が分からず、少し考え込んでしまう。
敵を見誤るなってどういうことだろう? リビングメイルの急所というか、生命力の根源や魂みたいなものを見極めてそこを衝けってことかな?
でもそんなことを言われても、実体のないモンスターの急所なんて分かるわけがない。そんなことが出来るのは、ミューリエみたいに戦いに長けた達人くらいなものだ。少なくとも戦いの初心者である僕にそれが可能だとは思えない。
ただ、この状況でくれたアドバイスだから、何らかの意味はあるはず――。
――さて、次に取る行動はどうしよう?
●剣で戦う……→38へ
https://kakuyomu.jp/works/16817139554483667802/episodes/16817139554484537810
●能力で戦う……→44へ
https://kakuyomu.jp/works/16817139554483667802/episodes/16817139554484667857
●防御して様子を見る……→10へ
https://kakuyomu.jp/works/16817139554483667802/episodes/16817139554483973591
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます