第三話 俺は主人公じゃなくて良い
だが、なにやら外が騒がしい。圧がある
こういう面倒くさい場には関わりたくないが、探している人物ならば、
「見た目で分かる、お前ら、クロノリア国の兵士だな! この村は渡さないと何度言えば分かる!」
そうそう、こうやって正義感あふれる言葉で帰ってもらおうとするはずだ。
「
「村長は今、お
「だったら、
無事、言い争いは
「む、お客人か。すまないな、あまり
頭を下げて堅苦しく謝ってくるその男は、まさしく探していた相手だった。なぜ、彼を探していたのか。それを語るには、この小説の世界について説明する必要がある。
この小説は、
勇者力を持っている者は、同じ勇者と戦っても傷一つ負わせられない。これは、「神の過保護」と呼ばれる現象で、自分が愛した者同士が戦うことを許さないからだ。だが、一般人ならば勇者を殺せる。当然、力の差が激しいのでそう簡単には殺せないが、戦争中の事故やどさくさ
主人公はクロノリア国に所属する勇者で、炎の勇者力を持ち、
この探していた彼は、村で
と、主人公の英雄っぷりと末端の被害者を対比するエピソードとして書いたものの、あくまで一つのエピソードであり、すぐに本筋の
このような経緯があり、彼には並々ならぬ思いを抱いている。もし、この世界が小説と同じ流れを辿るのであれば。今度は彼を守りたい。読者の目を気にせず、作者としてやりたいことを、やりたいようにさせてもらう。
「気にすることはないよ。クロノリア国がかなり
「そうだな、あなたに危害が
申し訳なさそうな表情の中に、揺るがぬ決意が
そして、改めて考えてみると、自分に危険が迫ったときに身を守る
「それが正解なんだろうが、あいにく記憶を失っていて、どこに行くべきかも分からないんだ。それに、君を一人で防衛に当たらせるわけには行かない」
「ありがとう、気持ちだけでも十分だ。今日はもう遅い、早く眠るといい」
そう言われて、日が暮れてきていることを認識した。日にちのサイクルや風呂、飯などの文化的側面は日本と同じにしておいて良かったと思った(世界観の設定をゼロから作りこめるほど才能に満ち溢れていないだけだが)。
「そう言えば、記憶喪失で忘れているとしたら申し訳ないことが、お客人の名前をお聞きしても良いだろうか?」
来た、名乗りイベント! ひそかに楽しみにしていたと同時に恐れていた。なぜならば、この村の住人的には、日本人っぽい名前の方が良いのか、海外っぽい名前の方が良いのか分からないからだ。ここは、賭けだ。
「俺の名前は…………ワタナベだ」
「ワタナベ……そうか、良い名前だ。俺はアルケー、よろしく頼む」
どうやら、賭けには負けたらしい。
職業:作者~神より神な能力を手に入れた俺が、都合よく世界を"書き換え"ます~ @aoi3kan
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