4#風船の割った犯人はお前だ?!

 「おい、野良猫。」


 「な、なんだよワン公。」


 「この風船を口で膨らませてみろ。」


 「そ、そんなぁ!!俺、見ただろ?俺は風船膨らますのが苦手だにゃー!!」


 「つべこべ言わずに膨らませろよ!!噛みつくぞ!!」


 「しゃぁせん!!わ、解りました!!」


 野良猫のくろたは渋々、脇から落ちてきた赤い風船を頬っぺたをめいいっぱい孕ませて息を入れて膨らませた。




 ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷぅ~~~~~~~~!!



 「もっと膨らませられるだろ?まだ文字が解らない。」



 がぶっ!!



 野良犬のポワろーは、くろたの尻尾に噛みついた。


 「痛い痛い!解りました!!」



 ぷぅ~~~~~~~~~~!!



 「これでどうにゃ・・・!!」


 野良猫のくろたは、ぜぇぜぇと荒い息をして控えめに膨らんだ赤い風船を野良犬のポワろーに見せた。


 「やっぱりね。ちゃんとこれが『開店セール』の風船だと解ったよ!!君が子猫の風船を割ったんだね?!」


 「ば、バレたにゃ!!」


 野良猫のくろたの顔は青ざめた。

 そして野良猫のくろたは、白い子猫の前で土下座して謝った。


 「ごめんにゃさい!!ごめんにゃさい!!

 俺が君の風船を割りました!!

 だって!!俺もあのヘリウム入りの風船が欲しかったんにゃ!!

 あの子猫ちゃんが、このスーパーマーケットで風船貰ったのが羨ましくて!!

 俺がスーパーマーケットに行ったら、俺は野良猫だから店員に疎まれて「しっ!しっ!」とされたのが悔しくて・・・

 嫉妬した俺は・・・つい後ろから着いていって・・・隙をみて爪をたてて・・・ぱぁーん!!と。」


 「いいんにゃ。黒猫さん。」


 涙目のくろたが顔をあげると、白い子猫はニッコリと微笑んだ。


 「ねぇ、黒猫さん。その代わりこの風船ちょうだい。」


 「うん。いいよ。」黒猫のくろたは、今さっき膨らませた風船を子猫にあげようとした。


 「でもねぇ。」


 「なあに?子猫ちゃん。」


 「この風船をでっかく膨らませて!!こーーーーんなに大きく!!」


 いたずらそうな満面の笑みの白い子猫は、大きく前肢を広げてみせて黒猫のくろたを困惑させた。


 「だから早く風船膨らませろよ!!また尻尾噛みつかれたいか?!」


 野良犬のポワろーは牙を剥いて黒猫のくろたを脅した。


 「はい!はい!!解りましたーーー!!」


 黒猫のくろたは、深く息を吸い込むと渾身の力を込めて何度も膨らませて伸びきった赤い風船をヤケクソに息を吹き込んだ。



 ぷぅ~~~~~~~~~~!!



 「どう?」

 「もっと大きくなる筈だ。」



 ぷぅ~~~~~~~~~~!!



 「まだ?」


 「だめーーー!!」


 「えーーー!!」



 ぷぅ~~~~~~~~~~~~!!



 「もういいでしょ?もう風船が大きすぎて怖いよ!!」


 「まだ膨らませてーー!!そうそう。わたし、このスーパーの店員に貰われる事になったの。」


 「それは良かった!!おめでとう!!子猫ちゃん!!」野良犬のポワろーはそう言うと、前肢で拍手した。


 「そ、それはよかっ・・・げっ!!今風船にしゅ~~って・・・」


 野良猫のくろたが青ざめるのも遅かった。



 ぱぁーーーーーーーーーん!!








 ~誰が子猫の風船を割ったのか?~


 ~fin~


 



 

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誰が子猫の風船を割ったのか? アほリ @ahori1970

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