3#風船割りの犯人を探せ
くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、
自称探偵犬のポワろーは、白い子猫の大事な風船を割った犯人を突き止めようと風船の匂いから嗅ぎ取った犯人の匂いの跡を自慢の鋭い鼻で探っていた。
「ねぇ、ワン公。犯人まだぁーー?脚が疲れちゃったんだけど。」
「ウルセー!!今、匂いの後を嗅いでるのに全神経を研ぎ澄ましてるんだよ!!
邪魔するなぁ!!」
「はーい。」
くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、
「えー?まだー?」
「猫のくせに鼻糞を爪ほじりながら言うなー!!」
くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、
「ねー!疲れちゃったからこの木陰で休もうよ!!」
「いちいちウルセーんだよ!!この野良猫は!!なあ、子猫ちゃん。」
「あたし、ここでおしっこしたい。」
「はいはい!解ったよ解ったよ!!」
だいぶ3匹は歩いただろう。
しかし、その匂いの跡を辿っていくとその辺をグルグルと周回している事に3匹が気付いた。
と、同時に黒猫のくろたの顔が段々ひきつってきた。
・・・ここ、俺の縄張りじゃねーのか・・・?
・・・ここで俺は何やったんだっけ・・・
「すいませーん。質問!!」
「なあに?野良猫君。」
「俺達、今さっきから同じ場所を・・・」
「あの割れた風船の匂いから醸し出した道筋なんだから、仕方ねーだろ?」
くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、くんか、
匂いのスパイラルから抜け出して、3匹一行は延々と歩いた。
今度は、白い子猫が周りを見渡して言った。
「ここ、あたしが風船貰いに行った時の道だにゃ。」
この子猫の発言に、野良猫のくろたはまたギクッとした。
・・・そういえば、この風景見覚えあるぞ・・・
・・・まさか・・・俺・・・?
3匹がたどり着いたのは、とある新しく開店したばかりのスーパーマーケットだった。
「やば・・・ここは。」
その時だった。
今度は、黒猫のくろたの身体に自称探偵犬のポワろーの黒光りする鼻が探っていたのだ。
「わー!くすぐったい!!にゃはははは!!」
ぽとっ。
黒猫のくろたの脇から、今さっきの萎んだ赤い風船が落ちた。
「あっ!」「あああ!!」
「僕!この風船膨らます時に気付かなかったけど・・・これ、子猫が割られた風船と同じ『開店セール』の風船だわん。」
・・・ぎくっ・・・!!
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